STO(セキュリティー・トークン・オファリング)と呼ばれる手法で、今回資金調達した約66億円は不動産STOとして国内最大となる。STOは安定して収益を得られる投資手法として個人投資家の間で人気が高まりつつある。
ケネディクスは2021年8月、日本で初めて公募型の不動産STOを行った。今回のSTOは同社として3回目で、裏付け資産は居住用の住宅でなく、神奈川県厚木市内で取得した圏央道に近い大型の物流施設を対象とした。
一口あたりの発行価格は100万円で、大和証券が投資家への販売を担った。4%の分配金利回りなどが支持され、個人投資家などから約66億円の資金を調達。調達額は物流施設の取得額の半分近くに達した。運用期間は原則として約7年を見込み、購入者は中長期で安定収益を得ることを想定する。
ケネディクスによると、国内で不動産STOによって発行された金額は累計300億円超という。新たな投資商品として認知度が高まり投資家層が広がることにより、市場規模は今後も拡大していくとみる。
中尾彰宏執行役員は「ホテルを対象資産にしたSTOも検討する」と話し、不動産投資信託(REIT)や私募ファンドに次ぐ「第3の事業の柱」を目指す。
▼STO(セキュリティー・トークン・オファリング) 「Security Token
Offering」の略称で、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使ってデジタル証券を発行し、資金調達を行う手法を指す。不動産を裏付け資産としたSTOは従来の実物の不動産売買より流動性が高く、不動産を小口化するため投資家は比較的少額から投資できるのが特徴とされる。

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