https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63284740Y2A800C2EP0000/
初乗りの上限額を500円、加算を100円刻みとする。早ければ11月にも改定する。乗務員の賃上げや燃料費高騰への対応を念頭に置く。
実現すれば都内では消費増税時を除いて15年ぶり。1989年以降で最大の14%程度の引き上げになる可能性がある。正式には政府の関係閣僚会議で決める。
14%のうち8%分を賃上げなど乗務員の労働環境改善に使う想定だ。足元の燃料費高騰への対応にも3%分を充てる。キャッシュレス化など乗客の利便性を高める投資にも3%分を振り向ける。
引き上げの対象は東京23区と武蔵野市、三鷹市の事業者。初乗り運賃は1052メートル390~420円から、1096メートル470~500円になる。加算も233~251メートルごとに80円から、255~271メートルごとに100円にする。
例えば東京駅から四ツ谷駅まで3.9キロメートル乗車すると最も高いケースで1600円と、今より140円上がる。東京駅から池袋駅までの10キロメートルでは現在の3540円から460円増え、4000円かかる。
運賃改定は3カ月以内に車両数にして7割を超える事業者が要請した場合に国交省が手続きを始める。今回は2021年12月24日~22年3月23日に90%を超える要請があった。
タクシーの採算は悪化している。国交省が都内の事業者の経営状況を確認したところ、08年から19年までにキャッシュレス化などの費用が81.7%膨らんでいた。乗務員の待遇改善などで人件費も12.0%上がっていた。
20年以降は新型コロナウイルス対策の行動制限で、夜間の利用者が減っている。足元ではロシアのウクライナ侵攻が燃料高に拍車をかけ、経営を圧迫する。
消費者基本法は重要な商品の価格変更を国が認可する際、消費者への影響を考慮するよう定めている。都内のタクシー運賃のほかバス・鉄道、たばこ、電話通話料などの料金も対象だ。必要に応じて政府の「物価問題に関する関係閣僚会議」で協議する。

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