住友不、経常益1割増 4~6月 分譲マンション採算改善

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同期間としては2期ぶりの増益で、20年に記録した最高益(840億円)などに次ぐ過去3番目の高水準を確保する。都心部を中心に分譲マンションの採算が改善し、底堅く推移する主力のオフィスビル賃貸事業も支えとなった。

 

通期見通しに対する進捗率は4~6月期時点で3割を超えている。純利益は前年同期の491億円を上回ったもようだ。

利益を押し上げた要因の一つが新築マンション販売の採算改善だ。引き渡し戸数減の影響で連結売上高は前年同期(2504億円)をやや下回ったもようだが、建設費や人件費の上昇分の販売価格への転嫁が進み利益率が上がった。東京都港区に建てた「グランドヒルズ南青山」など都心部の高層マンションへの関心は高く、低金利下でファミリー層などの購入意欲も根強い。

中古マンションや土地の仲介事業も高い収益性を維持した。「新築そっくりさん」ブランドで扱う中古住宅のリフォーム事業は脱炭素につながる点などが支持され、受注棟数を伸ばしている。

主力のオフィスビル賃貸は新型コロナウイルス禍でも底堅く推移した。都内を中心に230棟超の賃貸オフィスを手掛け、オフィスを含めた賃貸事業は22年3月期の営業利益全体の約7割を占める。

都心部の大型ビルなど好採算案件は引き続き好調に推移している。社員同士の交流強化などを目的に新たにオフィスを借りる企業も多く、大企業を中心に新規契約や増床の動きもある。

オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると、在宅勤務など多様な働き方が進んだ結果、東京都心5区の空室率は足元で6%台と供給過剰の目安となる5%を上回っている。

23年以降の新築大型ビルの大量供給を控えて先行き懸念も根強いなか、住友不が東京・三田で23年に完成予定の大型ビルのテナント契約などは比較的順調に進んでいるようだ。

一方で、ホテル事業は新型コロナウイルスの影響で稼働率などは回復途上にある。国内出張を手控える企業はなお多く、都心部に多い「ヴィラフォンテーヌ」ブランドのホテルは悪影響を受けている。

4~6月期決算は10日に発表する予定だ。23年3月期通期の業績予想は据え置く公算が大きい。通期の経常利益は前期比4%増の2350億円、純利益は6%増の1600億円を見込み、それぞれ2期連続、10期連続で過去最高益を更新する見通しだ。