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証券15社、赤字・減益に 4~6月、株売買の手数料収入減少 個人の投資意欲後退

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63160920T00C22A8EE9000/

 

赤字・減益は1~3月期より1社増えた。世界的な市況低迷を受けて個人の投資意欲が後退し、株の売買仲介で得る手数料収入が減少した。ネット証券は円相場の値動きに目を付けた個人の外国為替証拠金(FX)取引が活発だった。

 

上場する13社でみると赤字・減益は12社。日経平均株価が2万円前後で膠着して売買が低調だった19年1~3月期(13社)以来の多さだった。

3日に決算発表した野村ホールディングス(HD)の純利益は前年同期比97%減の16億円だった。投資先の企業で約230億円の投資損失を計上。不透明な市場環境で個人の株式売買も振るわなかった。主要3部門の税引き前損益が1~3月期より悪化する厳しい決算になった。

6月末の日経平均株価は3月末比5%安、米ダウ工業株30種平均は11%安と総じて軟調だった。相場下落が投資家心理を冷やし、株取引の手控えが広がった。東京証券取引所の売買データをみると、4~6月期に個人が最上位のプライム市場(旧東証1部)において現金で取引した金額は19.1兆円と、前年同期比1割弱落ち込んだ。

大和証券グループ本社は4~6月期に個人の国内株の売買代金が2.3兆円と、前年同期比18%減った。純利益は50%減の118億円だった。

証券各社は投資信託などの預かり資産の残高に応じて手数料を得るストック型ビジネスへの転換を図ってはいるが、対面証券を中心にいまだ株の売買仲介の占める割合は大きい。「一定の成果は出ているが、(ストック型への)トランスフォーメーションは途上にある」(野村HDの北村巧・財務統括責任者)

円相場は対ドルで荒い値動きが続いた。円安方向に進む中で売買を頻繁に繰り返すデイトレーダーのFX取引が活発になった。楽天証券はFX関連の手数料収入の増加で最終増益となった。一方、松井証券はFXの収益が増えたが、株式売買収益の減少を補えず、税引き利益は51%減った。

米国の金利上昇を受けて、個人投資家の関心は外国債券に向かっている。野村HDはトヨタ自動車の米金融子会社が発行した外貨建て債券の募集が好調だった。中堅証券でも米国の高利回り債に投資する投信の販売が増えた。

中長期で資産形成する個人の需要は根強い。受け皿になっているのがラップ口座だ。証券会社に運用を一任する商品で大手から中堅中小まで顧客獲得に力を入れる。

いちよし証券はラップ口座の残高が6月末で1910億円と、1年前比で15%増えた。国内外の株や債券、オルタナティブ(代替)資産に分散投資する商品で「物価上昇による資産の目減りを避けるといった目的で新たに始める人が増えている」。

岸田文雄首相は資産所得倍増プランを掲げ、少額投資非課税制度(NISA)拡充などの具体案を今後打ち出す予定だ。日本証券業協会の森田敏夫会長は「『貯蓄から投資』に追い風が吹いている」と話す。証券会社にとって個人取引を増やす機会になる。こうした資産形成を支援しながら市況に左右されにくい経営にシフトしていくことが生き残りのカギになる。