新資本主義などに4.4兆円枠 政府、概算要求基準を了解

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA293550Z20C22A7000000

 

防衛や脱炭素、物価高対策などの要求には上限を設けない。社会保障費は5600億円の自然増を見込む。

特別枠の設置は2年連続。各省庁からの要求は8月末に締め切る。歳出総額の上限は10年続けて設定しなかった。野放図な増額要求を抑えて、効果の高い政策に絞り込むことが必要になる。

政府は6月に決めた経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で防衛力の5年以内の抜本強化や脱炭素の推進、少子化対策を掲げた。関連する要求には上限を設けず「中期防衛力整備計画」の改定議論などと並行して検討する。

新型コロナウイルスや物価高の対策も同様に扱い、為替変動への対応を含め金額を明示しない「事項要求」を認める。

特別枠は、各省庁が使い道を決める「裁量的経費」の削減額の3倍まで要求できる。同経費は22年度当初予算(14.9兆円)から1割削ることを求める。特別枠の要求総額は4.4兆円規模になる可能性がある。

社会保障費の自然増はコロナ禍での受診控えなどで22年度基準(6600億円)から減少を見込むが、与党の積極財政派などから増額圧力が予想される。骨太の方針に盛った防衛や脱炭素以外の重要政策でも事項要求を認めるためで、歳出の3割を占める社会保障費の抑制方法は引き続き課題となる。

岸田文雄首相は6月に決めた新しい資本主義の実行計画で「人への投資と分配」「科学技術・イノベーション」「スタートアップの起業加速」「脱炭素・デジタル」の4つの柱を掲げた。

特別枠は4つの柱の関連施策や、経済安全保障への対応を中心に予算を割り振る。デジタル人材の育成や起業家支援、量子技術やエネルギー対策などに絡む予算要求が想定される。人件費など「義務的経費」を削減した場合も削減額の3倍までの上乗せを認める。