英、ガソリンなど減税/独、個人の税控除拡大 欧米の物価高対策

内閣府が公表した「世界経済の潮流」は各国の対応を取り上げた。

英国は2022年10月から電気料金を割り引く。政府が事業者に資金支援する。23年から5年間は料金に一定額を上乗せし、資金回収する。フランスはガソリンなどの店頭価格を引き下げる制度を4月に導入した。

英国は減税にも踏み込む。ガソリンなどへの燃料税を3月から1年間減税する。家計と企業で計約24億ポンド(約3964億円、22年4月時点の為替レートで換算)の節税効果を見込む。ドイツもガソリンなどへのエネルギー税の引き下げを公表した。

個人向けにはドイツが22年の基礎控除(非課税枠)の増額を決めた。英国は鉄道料金が最大半額になる支援策を4~5月に実施。フランスは仕事で自家用車を使う人向けに、21年度の交通費に関する控除額を増やした。

欧州はロシアへのエネルギー依存度が高く、急激な物価上昇はウクライナ危機による資源高が主因となっている。

6月の物価上昇率が9.1%に達した米国でも、カリフォルニア州がディーゼル税の一時的な適用停止や、車所有者への税還付を決めた。

企業向けの支援も手厚い。ドイツは化学や鉄鋼など影響の大きい企業を対象に、22年の電気やガス料金に関してコスト上昇分の最大7割を補填する。フランスは政府保証付きの融資の上限額を引き上げた。

低所得者対策で、日本は子ども1人あたり5万円を支給している。欧州はその名目や金額が異なる。フランスは低所得世帯にエネルギー代支援としてバウチャー(利用券)を100ユーロ(約1.4万円)支給。英国は不動産評価額が一定額以下の住宅を対象に22年4月から、固定資産税を1戸あたり一律150ポンド(約2.5万円)還付する。