スポーツジムでマスクは? 割れる対応、酸欠リスクも 専門家「周り見ながら判断を」

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マスクを着けての運動は酸欠などのリスクも伴うが、「第7波」が広がる中、屋内施設での非着用に抵抗感を持つ人も。専門家は「周辺環境を確認しながら、適切に両立させて」と呼びかけている。

「息苦しいので外したい気持ちもあるが、ジムの中で会話している人を見ると、どうしてもコロナが気になってしまう」

岐阜市の「コパンスポーツクラブ岐阜」で筋力トレーニングをしていた男性(73)は、脱マスクへのちゅうちょを口にすた。だが、ランニングマシンを利用していた男性(50)は「速度を抑え、時間も短くしているが、やはり苦しい。一人で黙々と運動している分にはマスクは必要ないのでは」とこぼす。

福井県や愛知県、京都府などで約50店舗を展開するコパンではプールやシャワー室を除き、館内ではマスク着用を必須にしている。いわゆる鼻出しマスクも禁止で、広報課の社員は「安心して運動してもらうにはマスクは欠かせない」と話す。

一方、自治体が管理するトレーニング室などでは、初夏の時期からマスクに関するお願いの基準を「常時」から「可能な限り」に緩和し、有酸素運動では「外してもいい」としたところも。酸欠などのリスクを軽減するため、器具を2メートル前後離し換気も徹底した上で、マスクは「推奨」としている施設もある。

周りに気兼ねなく運動したいという人に人気なのが、個室でトレーナーから1対1で指導を受けられるパーソナルジムだ。東海地方でパーソナルジムを経営する40代男性によると、コロナをきっかけに大手のジムを退会して入ってきた人もいるという。このジムではマスクを着けるか外すかは利用者自身に判断を任せているという。

コロナ感染が急拡大していた時期には、一部のジムでクラスター(感染者集団)が発生。飲食店やライブハウスなどと共に営業自粛要請の対象となった地域もある。

感染症に詳しい岐阜大の村上啓雄特任教授は「マスクは感染させない、しないために有効な防護具。マスク着用が熱中症を引き起こすという客観的エビデンス(根拠)もないので、夏の時期だけ悪者のように扱わないでほしい」と強調する。その上で、換気が徹底され、他の利用者と距離が空いている場合に限り、息苦しさを感じたら外してもいいと助言。「周りを見ながら賢く判断してほしい」と話した。