https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF079K10X00C22A7000000
5年で100億円を投じ、海外客も取り込める施設を目指す。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン再建を率いた刀の森岡毅最高経営責任者(CEO)と、サムティの小川靖展社長に戦略を聞いた。
サムティ・小川社長「運営ノウハウ、海外に輸出」
――なぜネスタリゾートの経営に参画するのでしょうか。
「森岡さんが話をもってきた入り口では、正直『ノー』だった。テーマパーク運営は日本で成功事例が少なく、相当な勇気が必要だ。ただ、コロナで大きく時代が変わると感じ、ネスタへの参画が変われる節目かな、とも思った。真剣に検討をする中で森岡さんに素朴な質問を繰り返すと、一つ一つ合理的な説明をしてくれた」
「『テーマパークはやりたいことをやるのではなく、もうかるように投資効率を考えなければならない』という言葉などを聞き、初めてテーマパークを事業として捉えられた。刀がコンサルだけやるのであれば突っ込めないが、一緒に経営権を取得することとなり、我々の判断の背中を押した」
――どんな経営指標を重視しますか。
「株主に利益を期待される立場として、売り上げ・利益にはこだわる。期待値としては、マンションやオフィス、ホテル以上のリターンを求める。理由は簡単で、それ以上のリスクをとっている。償却を乗り越えて、利益を出せる勝算があると考えている。十分おつりが出るくらい利益貢献する施設だ」
――ネスタでの経験をどう次につなげていきますか。
「できたら海外に輸出していきたい。テーマパークの運営ノウハウは、日本から輸出できるもののひとつと認識している。十分海外でも展開できる。同じ課題を抱えている国は多い。テーマパークがほしいという声もあり、世界中で事業は拡大している。土地は山ほどある。ネスタの成功体験を、新しいビジネスチャンスにつなげたい」
刀・森岡CEO「絶対成功へ、エース部隊派遣」
――2018年からマーケティング支援などでネスタリゾートに関わってきました。
「USJのように絶対的な勝ち筋が見えていたわけではない。難易度が高いことは明らかで、ためらう気持ちもあった。当時の勝算は6割というところだった。消費者理解を集中的に積み重ね、6割の仮説は8割、9割の自信に変わっていった。(新型コロナウイルスなど)外部環境の変化の影響はあるが、極めて想定通りに進んでいる」
「前オーナーから経営権譲渡の話があり、信頼をいただいた。刀として資金調達も実施しており、出資余力は蓄えていた。望まれるなら経営に踏み込もうと検討してきた。投資余力の観点やホテルや開発に関わる中で単体より成功確率が高まるパートナーを探し、サムティに相談した」
――今後、どう施設を運営していきますか。
「どんなビジネスも同じだが、人が一番大切だ。テーマパークは輪をかけて大切だ。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)時代からの同僚で、USJにも来てもらい信頼している森本咲子氏をCEOに据えた。絶対に成功させる覚悟を持ち、熟練のエース部隊5人を刀から送った。テーマパークは現場で適切な判断が求められる。頑張ったら報われる会社にし、ネスタのプロパー(生え抜き)を強くする」
――地方創生に言及しています。
「古い資産を土台に、新しい投資を積み重ねてにぎわいを取り戻すのは、地域にとって意義が大きい。地方で同じような問題を抱える人に、心理的・物理的距離の抵抗を克服して戦えるブランドを構築するノウハウがある、というのを知ってもらえれば。様々な機会に挑戦していきたい。サムティとも協業機会を模索していく」

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