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日本国内で稼働しているNFTマーケットプレイスは50件以上に及び、デザイン画やゲーム、音楽など分野ごとに特化した市場も人気を集めている。
デザイン画からゲーム、音楽まで
NFTはNon-Fungible Tokenの略。データ化されたデザイン画や音楽は容易にコピーできるが、元本であることを証明するNFTがひも付いたデジタル作品であれば、唯一無二の資産となる。所有権の移動などはブロックチェーン(分散型台帳)によって厳格に管理される。不動産やお酒といった実物資産を分割所有するケースにもNFTは使われる。
NFTがひも付いたデジタル作品や資産を出品したり、購入したりするのがNFTマーケットプレイスだ。暗号資産(仮想通貨)のイーサリアムが決済に使われるケースが多く、出品物の価格も「3イーサリアム」などイーサリアム建てで表示される。また、仮想通貨で決済するNFTを保有するには、電子財布(ウォレット)が必要なケースが多い。
楽天、クレカで円建て決済可
楽天グループの「Rakuten NFT」はNFTの手間や投機的な側面をなくすことを目指している。自社でブロックチェーンを運営することで、決済通貨として円が使用できるようにした。このため、利用者はイーサリアムの価格変動リスクを負わずに済む。ウォレットも不要で、楽天IDからクレジットカードで支払いができ、楽天ポイントもためられる。出品されているNFTは、スポーツやアニメ関連などが多い。
現代アートのEC(電子商取引)を手掛けるTRiCERA(トライセラ、東京・港)は、多様なデジタルアート作品を扱うマーケットプレイスを運営している。作品検索機能が優れており、好きな色や作者の意図などをもとに絞り込みができる。
トライセラの井口泰最高経営責任者(CEO)は「アートは玉石混交だ。投資対象として選ぶなら、作家のSNS(交流サイト)などをチェックして活動が長続きしているのか、ファンのコミュニティーがしっかりしているなどを確認すべきだ」と助言する。
SBI、アーティストを公認・支援
SBINFTは190人の公認アーティストの作品が出品されている。作品を展示するギャラリー機能がセットになっており、アーティストのインタビュー記事なども掲載されている。NFTを購入すると、その後もアーティストらとつながってサポートなどができる。マーケットプレイスで「コミュニティー」の構築を支援しているのが特徴だ。
ウイスキーの樽の所有権をNFTで分割するプロジェクトも展開している。SBINFTの中田宜明最高マーケティング責任者(CMO)は「将来様々な場面で利用される技術になるため、まずは触れてほしい」と力を込める。
コインチェック、仮想都市の土地も販売
コインチェックはサンドボックスと呼ばれる仮想空間に「Oasis TOKYO」という都市を計画中だ。完成後はファッションショーや音楽ライブなどが行われ、その入場券をNFTとして販売する予定だ。さらに都市の近隣の土地がNFTとして売り出されている。
コインチェックのグループ会社には、ゲーム用NFTを中心に扱うマーケットプレイス「ミーム」もある。ゲーム内のキャラクターやアイテムをNFTにひも付けて出品している。
成長著しいNFT市場だが、最近は制作者以外の人が勝手に出品したり、ウォレットから仮想通貨を盗み出す事件が起きている。国内のマーケットプレイスは出品者の審査などをしているが、海外のマーケットプレイスを利用する際には詐欺などへの注意が必要だ。


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