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日本の水際対策「世界に取り残される」 経済界が苦言

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR20DYK0Q2A720C2000000

世界最大級の航空展示会「ファンボロー国際航空ショー」に参加する企業から、日本の水際対策に対する苦言が相次いでいる。世界でも異例の厳しい対策が、ビジネスや観光に影響を及ぼしているためだ。欧米を中心に国境を越えた往来が回復する中、日本の孤立感は強い。

「世界で取り残されている数少ない国だ」。東京センチュリーの原真帆子・専務執行役員は日本経済新聞の取材に危機感をあらわにした。「ウィズコロナ」にカジを切る欧米などと対照的に、日本は依然として入国者数の制限を設けている。原氏は「経済にインパクトが出ている」として、水際対策の早期撤廃を求めた。

傘下の米航空機リース「アビエーション・キャピタル・グループ」は航空ショーで、米ボーイングの小型機737MAXを12機、追加で発注した。世界で航空需要が戻っているためだ。原氏は「燃費効率の高い機体に替える需要は大きい」と話す。世界の航空需要の回復の勢いを見ているだけに、開国に踏み切れない日本はもどかしく映る。

三菱重工業の加口仁・常務執行役員は新型コロナの扱いについて「インフルエンザくらいにしてほしい」と期待する。海外の顧客がビザを取得できずに訪日できないケースもあったという。加口氏は「できればもう少し緩和してほしい」と話す。

欧米などは変異型「オミクロン型」の重症化率が下がってから、規制を緩和して通常の生活に近づけようとしている。米国は6月に入国前の検査義務を撤廃した。日本は6月から緩和したものの、引き続き入国前検査があるため出張の妨げになっている。1日の入国者数の上限をコロナ前の7分の1程度に絞っているほか、外国人観光客もごく一部しか認めていない。

国内ですでに大流行している現状で、水際対策をする効果は乏しい。科学的根拠がないまま外国人を拒み続けるのも大きな問題だ。経団連なども繰り返し「開国」を求めているが、政府の動きは鈍い。

航空ショーの会場では、マスクを着けたままの日本人が多かった。日本から出張したある男性は「入国前検査に引っかかるのが怖くて外せない」と話した。ある航空会社の男性は「オミクロン型が主流になってから明らかに風邪と同様の症状なのに、政府が対策を変えられないのは理解できない」と首をかしげた。

IHIの満岡次郎会長はオミクロン型の重症化率が下がっていることに触れ、「感染対策は何が良いのかを統計で合理的にみれば、少なくとも今の水際対策よりは緩和してもいいという結論になると期待している」と述べた。