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みずほ銀行は店舗に行かずに法人口座を開設できるサービスを7月中に全国展開する。三井住友銀行と三菱UFJ銀行も今年度中に全国で導入する考えだ。個人向けでは、3メガバンクともアプリによる口座開設やネット振り込みを導入している。店舗やATMに行く必要があるのは、現金の入出金や細かな手続きを残すのみとなった。
法人口座の開設には銀行員と企業の担当者との面談で事業の実態を確認する必要があった。このため個人向けに比べるとデジタル化が遅れていた。
全国のみずほ銀行では7月下旬から、法人は一度も来店せずに口座開設ができるようになる。一部支店では2021年から導入しており、インターネット経由の申し込みの割合が19年度から20年度で1割以上伸び5割を超えてきた。
全国一斉の対応はメガバンクで初めて。事業の実態などを確認する審査は専門部署に集約し、オンラインで企業の担当者と面談する。店舗の営業時間後でも柔軟に対応する。必要書類は郵送でやりとりする。
三井住友銀行はスマートフォンとパソコンで口座開設手続きが完結するサービスを8月に都内12の本支店で始め、22年度中に全国で導入する。グループの日本総合研究所やSMBCクラウドサイン、ポラリファイと協力し、顔写真による本人確認や必要書類のアップロード、電子署名などのシステムを導入。他メガと異なり、書類の郵送やオンライン面談をせずに口座の開設ができるようにする。速やかに口座を開きたいスタートアップなどの利便性を高める。
法人口座の開設は申し込みから4週間程度かかっていたが、面談や書類送付をなくすことで短縮できるとみる。残高証明書の発行や口座解約、法人の定期預金など頻度がさらに少ない手続きもデジタル化して来店不要にすることを検討する。
三菱UFJ銀行は18年、他メガに先駆けてネットでの法人口座開設サービスを一部店舗で始めた。6月時点では窓口がある店舗の4割で利用が可能になった。22年度中に全店展開する方針だ。
法人口座を開設するには、審査のための面談やキャッシュカードの受け取りなどで数回来店するのが一般的だ。書類に不備があると来店回数が増えることもある。創業間もない企業の経営者が手続きのために支店を訪れるのは負担が大きい。
法人口座のネット開設は銀行側の経営効率化にもつながる。3メガバンクはネットからの開設申し込みを受ける部署を一本化する方針。各店舗で担っていた業務を集約することで、生産性の向上につなげる。
21年度の法人口座開設のうち6割超を創業間もない企業が占めるGMOあおぞらネット銀行は最短即日で法人口座の開設ができる。4月には、会社の登記が完了する前に法人口座開設手続きに入り創業から口座開設までの期間を2~3週間短くするサービスを始めた。メガバンクが本格的に乗り出せば、スタートアップを巡る競争が激しくなる可能性がある。

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