ネトフリ、広告戦略転換 低価格プラン、来年初め導入 再成長への起爆剤に

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62766050Q2A720C2TB1000/

 

会員からの料金で収益を得てきたが、広告収入も取り込む戦略に転換する。インフレや競争激化で2四半期続けて会員数が減るなか、支出を厳しく見極める消費者の獲得と利益成長の両立をめざす。

 

広告主からの収入を確保し、消費者が払う料金を引き下げるのが狙いだ。「広告市場が十分に発達し、収益化を見込める国から始める」(ピーターズ氏)と言い、米国などから順次、各地に広げる可能性が高い。世界展開を念頭に、新プランの開発・営業で米マイクロソフトと手を組んだ。

 

他社が提供する広告付きプランはコストに敏感な消費者に受け入れられている。米調査会社アンテナが米国で有料動画配信サービスを新たに契約した人を調べたところ、広告付きプランを選ぶ人の割合は20年の19%から22年(1~3月期)には35%に上昇した。

21年夏に広告付きプランを導入した米ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの「HBOマックス」は1~3月期に会員を300万人増やした。

ネットフリックスが1月に値上げをしたことで広告のないサービスの割高感が強まった面もある。例えば、月14ドルだった「標準プラン」の料金は月15.5ドルに上昇した。「HBOマックス」の広告付きプランは10ドルだ。

アンテナのブレンダン・ブラッディ氏は「インフレが進み、マクロ経済の不透明感も強まった。広告を我慢して安いプランを選ぶのが合理的だと考える消費者が増えている」と指摘する。食品やガソリンなど生活必需品の価格も軒並み上昇するなか、娯楽サービスの消費を絞る傾向は今後も強まる可能性がある。

ネットフリックスのリード・ヘイスティングス共同最高経営責任者(CEO)は19日の説明会で「従来型のテレビ放送は5~10年で終わる。動画配信(の未来)に対して楽観的だ」と話した。だがそれは、既存メディアも巻き込んだ、広告を巡る新たな競争の幕開けを意味している。