https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62677480V10C22A7TB0000
新型コロナウイルス禍で住まいに対する意識や働き方が多様化し、ワーケーションなどの需要が伸びていることに応える。販売する物件の付加価値を高めることで、顧客層の拡大につなげる狙いもある。
傘下の三井不動産レジデンシャルを通じて提供する。まず三井不レジのマンションや戸建ての購入者、賃貸物件の居住者ら約30万人が所属する会員組織向けに始め、サービスが軌道に乗った後は会員以外にも広げる。
三井不レジが東京都心部や札幌、福岡などで手がける賃貸マンション「パークアクシス」の一部や、傘下の東京ドームが運営する静岡県熱海市のホテルなどを活用する。
利用者は空室状況を見ながら物件を選ぶことができる。東京・豊洲のマンション購入者が、札幌でワーケーションをするといった使い方が可能になる。地方やリゾート地では、住居だけでなく農業体験などの追加サービスも提供する計画。民泊向けの物件や農業などの体験型施設も選べるようにする方針だ。
利用期間は数日~月単位を想定している。詳細な料金は未定だが、22年3月の実証実験では東京・池袋のマンションで月額5万円とするなど、周辺の賃料に比べて割安に設定した。サブスクリプション(定額課金)方式も検討する。22年度中にさらに実証実験を進めてサービス内容を固め、本格開始時は年間数百人の利用を想定する。
三井不は今回のサービスで、コロナ禍で変化した居住地や働き方のニーズに対応したい考えだ。自然が豊かな場所や観光地に住みながら仕事をしたい人が増える一方、繁忙期などはオフィスに近い方が利便性が高い面もある。全国各地に物件を持つ強みを生かして多様な暮らし方を提案し、顧客満足度を高める。
新サービスは全国の賃貸物件の稼働率向上につなげるほか、コロナ禍で低下したホテルや施設利用者の増加も見込む。三井不レジが手がけるマンションや戸建ての付加価値を高め、購入者の裾野を広げる狙いもある。
三井不レジの桜井公平主査は「今までと同じ商品企画では(顧客ニーズの変化に)取り残されてしまう」と話す。21年夏には物件購入者らが自宅の近くで仕事や趣味に使える施設を、JR武蔵小杉駅(川崎市)近くに開設した。

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