金融庁、マニュライフ生命に業務改善命令 節税保険で

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節税効果を強調するなど保険本来の趣旨から逸脱した募集活動を問題視した。商品開発や募集の管理におけるガバナンス(企業統治)の抜本的な強化を求めた。節税保険に関する行政処分は今回が初めて。

問題となったのは「名義変更プラン」と呼ばれる商品。解約時の返金率が低いうちに契約者の名義を法人から個人へ変え、返金率が高くなった時期に解約し、通常の所得より税負担が軽い「一時所得」として返戻金を受け取る仕組みだ。

金融庁が問題視したのは、万一の事態に備える保険本来の趣旨を逸脱した商品開発や募集活動が繰り返されていたことだ。マニュライフ生命の前最高経営責任者(CEO)をはじめとする旧経営陣が主導し、「名義変更プラン」を開発・推進していたと指摘した。

ガバナンスの機能不全にも言及し、「営業優先の企業文化やコンプライアンス(法令順守)、リスク管理を軽視する企業風土がある」と明記した。現経営陣において現場社員へのメッセージの発信など対応策を講じているものの、実効性に欠けているとした。

金融庁はマニュライフ生命に対して、適切な商品開発や募集の管理ができる体制整備に向けた業務改善計画を8月15日までに提出するよう求めた。ガバナンスの抜本的な強化が必要と断じた。計画の実施が完了するまで、3カ月ごとに改善状況を報告することもあわせて求めた。

マニュライフ生命は同日に文書で謝罪し、「再発防止に向けて内部管理態勢のより一層の強化とコンプライアンスの徹底に取り組む」とした。