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安倍元首相の国葬「費用は全額国費」 岸田首相記者会見 「率直に言って警備に問題」

岸田文雄首相は14日夕、首相官邸で記者会見した。銃撃で亡くなった安倍晋三元首相の国葬を秋に実施すると表明した。「安倍氏を追悼するとともに、日本は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」と強調した。

新型コロナウイルスの感染拡大への対処や物価高対策なども説明した。

参院選

首相は参院選の結果について「戦後最大級の難局から日本を守り、未来を切り開けとの国民からの叱咤(しった)激励だと厳粛に受け止める」と述べた。「大胆に政策を決断、実行し課題に向かっていくための力だ」と主張した。

「国民の信頼と共感こそが何よりも大切だと肝に銘じて仕事を進めていく」と呼びかけた。

安倍元首相の国葬・警備態勢の検証

銃撃で死去した安倍氏の「国葬」を秋に実施すると表明した。「民主主義の根幹の選挙中、突然の蛮行により逝去された。国の内外から幅広い哀悼・追悼の意が寄せられている」と述べた。

安倍氏を巡り「東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開などの大きな実績を様々な分野で残された」と評価した。

費用は全額を国費でまかなうと説明した。「閣議決定を根拠として行政が国を代表しておこなえる」と話し、国会での審議は必要でないとの認識を明らかにした。内閣法制局と調整し今後判断する。

安倍氏が参院選の演説中に銃撃を受けたことに関し「大変重く受け止めており、率直に言って警備態勢に問題があった」と認めた。

国家公安委員会や警察庁の検証にも言及した。「世界各国の要人警護のあり方とも照らして全面的に点検し、正すべきことは早急に正してもらいたい」と要求した。

新型コロナ対策

新型コロナウイルスを巡り「感染が全国的に拡大しており、若者を中心に全ての年代で感染者が増えている」との認識を示した。

感染力の強いオミクロン型の派生型「BA.5」に置き換わっていると指摘し「さらなる感染拡大に最大限の警戒が必要だ」と言明した。医療体制は維持できており、重症者数や死亡者数は低位にあると強調した。

「新たな行動制限は、現時点では考えていない」と説明した。「最大限の警戒を保ちつつ、 社会経済活動の回復に向けた取り組みを段階的に進める」と唱えた。

水際対策については「強化は具体的に考えていない」と表明した。「今後の状況は注視していきたい」と話した。

4回目のワクチン接種の対象者に全ての医療従事者や高齢者施設で働く人を加えることを表明した。新たにおよそ800万人が接種する。「自治体と連携して明日から準備を始め、来週以降速やかに接種を進める」と語った。

若い世代のワクチン接種に触れた。およそ8割が2回目接種を終えたものの、3回目が3~5割にとどまると指摘した。接種について「皆さん自身を守るだけではなく、家族、 友人、高齢者など大切な方を守ることにもつながる」と呼びかけた。

4回目の新型コロナワクチン接種に関し「障害者施設の従事者らに接種拡大をしていくことは大事だ」の認識を示した。「対象についてはよく現場の状況も確認しながら明らかにしたい」とも述べた。

夏休みで人出が増えるのにあわせ、全国におよそ1万3千カ所の無料検査拠点を用意すると明らかにした。主要な駅や空港などで100カ所以上の臨時の無料検査拠点を整備する。

エネルギー需給

夏の電力不足の懸念を巡り、電力の安定供給の見通しが立ったと説明した。「10以上の火力発電所の運転が再開した」と明かした。「この夏は無理な節電をせずクーラーを上手に使いながら乗り越えてほしい」と促した。

この冬について最大9基の原子力発電所の稼働を進めると表明した。「日本全体の電力消費量の1割程度に相当する分を確保する」と言明した。火力発電所の供給能力は追加で10基の確保をめざす。

原発の再稼働に関しては「国も前面に立って立地自治体などの理解と協力が得られるよう粘り強く取り組んでいく」とも説いた。「安全性を大前提として進める」と話した。「多様なエネルギー源をバランス良くミックスさせていくしかない」と語った。

ロシアのガス開発プロジェクト「サハリン2」について「LNG(液化天然ガス)の安定供給を確保できるよう官民で一体となって対応したい。事業者間の融通の促進などの対応も検討していく」と訴えた。節ガスの必要性には「お願いする状況にはない」と説明した。

物価高対策

物価高対策を巡り「7月中に予備費を措置する」と言明した。

物価高に1兆円の地方創生臨時交付金を活用するとも打ち出した。低所得者への給付金の上乗せや子どもが家族の世話や家事をする「ヤングケアラー」、地場産業や畜産などの支援に取り組む。臨時交付金は「必要に応じて増額する」と強調した。

高まる電気代負担に「需給逼迫の緩和と電気代負担の軽減の両方に対応する枠組みを設ける」と力説した。食料品価格の上昇には肥料コスト上昇分を補塡する支援金をつくり「6月に遡って支援する」と言及した。

安全保障

年内の国家安全保障戦略の改定などについて「議論を加速し、5年以内の防衛力の抜本的強化を具体化する」と説いた。

防衛費の増額については「数字ありきの議論はしない」との考えを改めて示した。「国内総生産(GDP)の2%も念頭に置きながら日本として5年かけて防衛力を抜本的に強化する」と説明した。

内容と予算、財源をセットにして防衛能力の強化を検討する方針だと改めて説明した。強化すべき分野に関しては「政府として議論しようとしているときに具体的なことを言うのは控えなければならない」と答えた。

自民党の提言で弾薬の確保や人工知能(AI)や無人機などの先端技術の実用化、防衛生産や技術の基盤強化、反撃能力の保有などが挙がっていると触れた。「こうしたものも参考にしながら議論を進める」と述べた。

外交・G7広島サミット

先頭に立って首脳外交を進め「新時代リアリズム外交」を推進すると強調した。

23年の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の事務局を15日に立ち上げると発表した。「議長国としての重責を果たすべく、着実に準備を進めていく」と話した。

新しい資本主義

新しい資本主義は「具体策の検討を加速する」と語った。スタートアップの支援強化などに取り組む。

内閣改造・自民党幹部人事

内閣改造の構想について「具体的に話をする段階にはない」と明言を避けた。「与党の結束が大事だということと適材適所は頭にある」と触れた。「臨時国会など政治日程について考えなければならない段階だ」と話した。