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増えぬ子ども 処方箋は 男性の働き方変えよ 立命館大学教授・筒井淳也氏

子どもを増やすために必要なことは何か。社会学などを専門とする、立命館大学の筒井淳也教授と京都大学の落合恵美子教授に聞いた。

 

――出生率の低下が続いています。

「不思議ではない。日本の合計特殊出生率は05年に1.26で底を打って15年まで緩やかに回復していた。ただ、実際に、どの世代がどれだけ出生したかを分析すると、05年からの改善は、人口が多い1970年代後半生まれの女性が30代で多く産んだことが理由だ」

「その下の80年、90年代生まれの女性の出生率は、前の世代より下がっている。出産タイミングの問題で合計特殊出生率が改善しただけで、少子化は一貫して進んでいる」

――未婚率の上昇も少子化に拍車をかけています。

「未婚は複合的な問題だ。一つには、周囲のお膳立てや職場結婚が90年代から減り、カップルが形成されにくくなった。恋愛にも若者は消極的になっている。2022年の男女共同参画白書でも、20代男性の約4割が『デートしたことがない』と答えている」

「経済的側面もある。90年代後半以降、雇用の不安定な男性が増え、経済的安定を求める女性とのミスマッチが広がっている」

――子どもを増やしたり、結婚したい人ができるようにしたりするにはどうしたらよいでしょうか。

「これですぐ解決できるという策はないが、今は、育休を取れるのかや教育費の問題など、みんな将来に不安がある。まずは、結婚しても共働きで、仕事と育児が両立できると確信できるようにする必要がある」

「そのために一番改善すべきは働き方だ。女性はもはや十分活躍している。男性の職場の見直しの方が大事だ。政府が強いメッセージとして発信していかなくてはいけない」

「例えば転勤制度の見直しだ。10年間は転勤は無しとするなど、どこでどう働くか明確にイメージできないといけない。地元から離れると子育ては大変さが増す。生まれた場所で一生暮らしやすくするには、リモートワークで全国どこでも働けるという企業が増えていくのが望ましい」

 

つつい・じゅんや 社会学が専門。家族と労働、女性の就労、ワークライフバランスなどについてデータを使った計量分析を用いて研究している。