https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC113WZ0R10C22A7000000
森記念財団都市戦略研究所が発表している「世界の都市総合力ランキング」では、ロンドン、ニューヨークに次ぐ3位の評価を得ている。まんべんなく高い都市力を示す東京だが「圧倒的な強い分野」に欠ける。課題は「経済」や「文化・交流」などの強化だ。
都単独で約1400万人、神奈川・埼玉・千葉の3県を合わせた東京圏では約3600万人が暮らす東京。多くの上場企業が本社を構え、大消費地でもある巨大都市は、都が集計する「都民経済計算」によると、2019年度の都内総生産(名目)はドル換算で約1兆600億ドル。各国の国内総生産(名目)と比較すると、インドネシアに次ぎ、オランダを上回る経済規模となる。
参考になるのが森ビル系のシンクタンク、森記念財団都市戦略研究所が08年から毎年発表している「世界の都市総合力ランキング」(GPCI)だ。世界の主要48都市のうち、東京は16年にパリを抜いて以来、3位を維持している。
同ランキングは、(1)経済、(2)研究・開発、(3)文化・交流、(4)居住、(5)環境、(6)交通・アクセス──の6分野70指標のスコア合計点で決まる。東京の場合、ハイスコアが目立つのが「食事の魅力」や「飲食店の多さ」といったグルメに関する指標だ。
世界のレストランを評価する仏ミシュランの星を獲得したレストラン数は東京が203。パリ(118)の1.7倍となる。さらに三つ星のレストラン数でも東京が12でパリの10を上回る。6000円以下で良質な食事ができる店(ビブグルマン)は229、サステナブルな料理を提供する店(グリーンスター)は14ある。ミシュランガイドは、素材の質、料理技術の高さ、味付けの完成度、独創性、常に安定した料理全体の一貫性という5つの基準でレストランを評価している。
これは「世界共通の物差しで、店の豪華さやサービス内容は評点に入っていない」(日本ミシュランタイヤの須藤元社長)のが特徴だ。東京は07年11月の発刊以来、星付きレストランの数で毎年世界トップを独走しており、須藤社長は「非常にバラエティーに富んでいるし、グローバルでの食のトレンドセッターになっている。サステナビリティー(持続可能性)を意識しているシェフも非常に多い」と評する。


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