https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62557430T10C22A7EA2000/
供給制約に円安が重なり、再値上げに踏み切る企業が増えている。日銀は7月の金融政策決定会合で、2022年度の消費者物価上昇率の予想を2%超に引き上げる見通しだ。
日銀が12日発表した6月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は113.8と、調査を開始した1960年以降で最も高くなった。伸び率は前年同月比9.2%で民間予測(8.9%)を上回った。12カ月連続で5%を超えるのは、第2次石油危機の影響があった1979年7月~81年2月(当時は20カ月連続)以来となる。
資源高と円安で原材料費が膨らみ、再値上げの波が広がりつつある。日銀はこうした動きを念頭に、7月20~21日の決定会合後に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、22年度の生鮮食品を除く消費者物価指数の上昇率見通しを、4月時点(1.9%)から2%超に引き上げる見通しだ。
日銀が直近年度の物価見通しを2%超とするのは、消費増税が影響した14年度を除けば、比較可能な03年度以降で初めてになる。政府・日銀が掲げる2%の物価目標を上回るインフレが、1年近く続くと予想していることを意味する。
ただ日銀は足元の物価上昇を「一時的」とみる姿勢は変えず、大規模金融緩和を続ける構えだ。
5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を加味した実質賃金は2カ月連続で減少した。賃上げを伴わない物価高は消費を下押しし、景気回復の妨げになりかねない。日銀は物価の上昇圧力と景気悪化懸念の板挟みに直面している。

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