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人口の重心、アフリカへ 50年に世界の3割、国連推計 腐敗・貧困の解消課題

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62551490S2A710C2EP0000/

 

国連が11日発表した世界人口推計では、経済発展を遂げてきた中国など東・東南アジア地域の人口が2030年代半ばに減少に転じると予測した。今後台頭するのはアフリカで、50年には世界人口の3割に達する。豊富な若年人口を労働力に生かせれば世界経済のけん引役になりうるが、実現には課題もある。

 

足元である22年に世界で最も人口が多い地域は中国やインドネシアなどを擁する東・東南アジアで、世界の29%を占める23億人が生活する。次いでインドなどの中央・南アジアが21億人(26%)。中国、インドの人口はそれぞれ14億人で、3位の米国(3億人)に大差を付ける。

中国は22年に人口減少に転じ、インドも人口増加ペースが鈍化する。台頭するのがアフリカ地域だ。中でもサハラ以南のアフリカは足元ですでに欧州・北米と同じ人口規模に達しており、人口増加率も2.5%と高い。22年から50年にかけ、同地域の人口はほぼ倍増し、40年代後半には20億人を超す。

22年から50年までの世界人口の増加の半分以上は、コンゴ民主共和国、エジプト、エチオピア、インド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、タンザニアの8カ国に集中すると国連は推計する。中でもコンゴ民主共和国とタンザニアは22年から50年にかけ、年率2~3%台の人口増が予想される。

世界全体の人口増加は鈍っている。世界全体の合計特殊出生率は1960年代に5.3まで高まり、人口爆発が懸念されたが、衛生環境や医療の整備、家族計画の普及などで出生率は低下を続け、足元では2.3まで下がった。サハラ以南のアフリカは依然4を上回るが、北アフリカ・西アジアで2.8、中央・南アジアで2.3と、人口が長期的に増えなくなる置換水準の2.1に近づいている。

出生率が低下しても高齢化には時間がかかるため、労働に適した年齢の人口が全体に占める割合が高まる。いわゆる「人口ボーナス」局面だ。サハラ以南のアフリカの大半の国、アジア、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の一部は人口構成が成長に追い風となる。

人口ボーナスは日本の高度成長や東アジアの急速な発展を後押しした。国連の報告書は「良好な年齢分布による利益を最大化するために、すべての年齢層でヘルスケアと質の高い教育への機会を確保するとともに、質の高い雇用を生み、人的資本の発展に投資すべきだ」と強調する。

ただアフリカが世界経済のけん引役となれるかどうかは不透明だ。マリは8人に1人、ニジェールでは2.5%しか高等学校相当の教育を受けていない。ケニアは42%が高校を卒業しており、同地域の中では経済発展への期待が高いが、それでもインフラや教師の不足が慢性化しているという。貧困根絶も課題だ。

ビジネス環境の厳しさも課題だ。

2050年に世界4位の人口規模となるナイジェリアは非政府組織(NGO)トランスペアレンシー・インターナショナルの「腐敗認識指数」調査で180カ国中154位、世界8位に浮上するコンゴ民主共和国も同169位だ。内外の投資を取り込んで発展を目指すには依然としてハードルが高い。