住宅各社、設置メリット説明に汗 電気代高騰で関心高まる 屋根から始まるTOKYO脱炭素〈下〉

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62457180Y2A700C2L83000

 

1戸あたりの屋根の面積を考えると、影響はマンションより戸建て住宅の方が大きい。戸建て住宅は載せられるパネルの容量が大きい分、価格転嫁すれば購入者の負担増に直結する。住宅メーカーは価格抑制や設置メリットの説明などに知恵を絞る。

 

東京都によると、戸建て住宅の屋根に載せる標準的な太陽光パネルの発電容量は4キロワットで、設置費用は90万円強になる。ただ、自家消費による電気代の節約や売電収入に、都の補助金を組み合わせると、約6年で元が取れる計算になるという。

 

気候変動対策はSDGs(持続可能な開発目標)にも盛り込まれており、省エネ性能に優れて再エネ機能も備えた住宅の供給は企業の責務ともいえる。都の太陽光義務化はこうした方向性を強化し、住宅メーカーの行動を促すものだ。

太陽光発電を巡っては、日中に使い切れない電力をためる蓄電池の普及や、将来の使用済みパネルの大量廃棄なども課題として挙げられる。脱炭素実現には既存住宅の断熱性能の向上も必須だ。都は官民で協議会を立ち上げ、一連の課題に取り組む。残された時間が少なくなる中、政策を総動員して脱炭素の道筋を描いていく必要がある。

上月直之が担当しました。