米ブラックストーン、日本で個人向け代替投資拡充 金利上昇で資金退避

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62350480V00C22A7EE9000

 

4月に野村ホールディングスを通じて非上場の不動産ファンドの販売を開始したが、プライベートクレジット(非上場企業向け融資)など他の資産に広げる。金利上昇で金融市場が大きく変動するなか、上場株や債券などに代わるオルタナティブ(代替)分野に資金を退避したい投資家の需要に応える。

 

ブラックストーンで個人向け商品を担当するプライベート・ウェルス・ソリューションズ部門グローバルヘッドのジョアン・ソロター氏が明らかにした。

ブラックストーンは海外で、毎月や毎四半期に購入・解約できるファンドを複数運用しており、このうち非上場の不動産投資信託(REIT)である「BREIT」を4月から日本で提供し始めた。ソロター氏は「クレジットなど他の資産のファンドも近い将来、提供したい」と述べた。

主に米欧では個人が非上場資産に投資する動きが広がる。ブラックストーンが米国市場に上場した2007年当時は運用資産総額約880億ドル(約11兆円)のうち、個人から預かった分は11%。22年3月末時点で運用総額は10倍の9150億ドルに増え、このうち個人は25%にのぼる。オルタナティブ投資はまだ個人に浸透しきっておらず「個人の比率は今後さらに伸びる」(ソロター氏)とみる。オルタナティブ分野は低金利下でも比較的高い利回りが見込めるとして投資需要を取り込んできたが、金利上昇局面でも「資金の有力な振り向け先になり得る」とソロター氏は指摘した。

インフレ対策では不動産投資が有効になる。不動産ではより賃料が上がりやすい物件を選んでおり、足元では住宅や物流施設、学生寮、データセンターに投資している。住宅の賃料収益は2ケタで成長しているという。ブラックストーンは商業用不動産では世界最大のオーナーであるうえ、世界で250社以上に投資している。

(和田大蔵)