日銀の金融政策決定会合 政策金利、9人が多数決

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欧米の中央銀行が金融引き締めに動く一方、日銀は大規模な金融緩和を続けていることが円安の大きな要因と考えられているからです。日銀の金融政策は金融政策決定会合で決まります。

 

Q 金融政策決定会合とはどんな会合ですか。

A 9人で構成する日銀政策委員会が、金融政策の方向性や政策金利の上げ下げなどを議論のうえ決定します。結果は為替相場や株価などに大きく影響することもあります。原則として年8回開催され、次回は7月20~21日です。金融政策の変更を急いで決める必要が生じた場合は、臨時の会合を開くこともあります。

Q 会合ではどんなことを話し合うのですか。

A まず日銀の執行部が最近の金融・経済情勢について報告し、その内容について委員がそれぞれ意見を述べます。そのうえで金融市場にどの程度の資金を供給するか、金利の水準をどの程度に設定するかなど、金融政策の方向性を議論します。最後に日銀総裁が当面の金融政策運営について議案を提出します。多数決で認められれば、それが金融政策となります。

Q 前回は何を決めたのですか。

A 6月16~17日の決定会合では大きく2つの政策の継続を決めました。一つは短期金利をマイナスにして、長期金利は10年物国債利回りがゼロ%程度で推移するよう国債を無制限に買い入れるという「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」。もう一つは上場投資信託(ETF)など長期国債以外の「資産買い入れ方針」です。いずれもお金を多く流通させ、経済活動の活発化を目指す金融緩和政策の一環といえます。

Q 議論する内容は毎回同じなのですか。

A 1、4、7、10月には政策委メンバーによる経済や物価の今後の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」についても議論し、内容を公表します。展望リポートは将来の金融政策を予想する手掛かりとなるため、市場関係者が注目します。

Q 詳しい議論の中身などもわかるのですか。

A 決定内容は会合終了後ただちに公表します。賛否が割れた場合は、誰が賛成し誰が反対したのかも分かります。会合後には日銀総裁が記者会見で説明をします。8日から2週間ほど後に会合での「主な意見」を公表し、もう少し詳細な「議事要旨」を次回会合で承認を経て公開します。

Q 政策委員会の9人の顔ぶれは。

A 日銀総裁と2人の副総裁、それに6人の日銀審議委員です。日銀法は審議委員について「経済または金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者」から任命すると定めています。経済学者、民間のエコノミスト、経済界の代表、大手金融機関の役員経験者などが選ばれています。政府が人事案を決め、国会の衆参両院の同意を得て就任します。そのため新たな委員を選ぶ際には政権の意向が大きく影響します。

Q どういうことですか。

A 政権が望む金融政策を志向する人を選べば、日銀がその政策を採用する可能性が高まるためです。2012年12月に発足した第2次安倍晋三政権は黒田東彦総裁をはじめ金融緩和に積極的な「リフレ派」を次々と指名しました。7月23日に任期満了となる片岡剛士氏は現メンバーで最も金融緩和に積極的とされます。23年3月に任期満了となる若田部昌澄・副総裁もリフレ派の経済学者です。

Q 人事も重要なのですね。

A 片岡氏の後任として岸田文雄政権が選んだ高田創氏は、金融緩和の弊害にも目を向けるエコノミストとして知られます。来年春には黒田総裁の任期も切れます。そのため現在の日銀の金融緩和政策が変わる可能性が高まるとの見方もあります。

(宮田佳幸)