参院選、若い世代どう見る 若者、変化想像しにくい 北海学園大教授 山本健太郎氏

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若年層の動向に詳しい北海学園大教授の山本健太郎氏、「シブヤ109ラボ」所長の長田麻衣氏、市民プロジェクト「#男女共同参画ってなんですか」代表の桜井彩乃氏の若手有識者3氏に聞いた。

 

物価高への対応やウクライナ情勢を踏まえた外交・安全保障などは若い世代にとって判断が難しいテーマだ。子育てや教育といった身近な政策が隠れてしまった。

社会の関心が高い子育て支援などに各党は2010年代後半から独自の主張を掲げるようになった。実情は「サービス合戦」とも呼べる政策が並んだ。政党間で差が出ず争点になりにくい面もある。

そもそも若年層は将来に不安を抱き、長期視点にも立つ。給付など高齢者向けの短期的な施策ばかりを打ち出しても共感は得られにくい。

まずは政権与党が社会保障をはじめ長期ビジョンを示すことが欠かせない。野党も消費税率引き下げや給付増だけを求めるのではなく、持続可能性をどう担保するのかから真面目に議論すべきだ。

与野党のどちらの主張にも欠けている部分が多い。日本の国政選挙が多すぎることもその一因といえる。

若い世代にしてみれば政治に関する知識や情報に接している期間が少ない。教育の現場でもいまの政治状況の分析や説明があまりないため、国会や政策を自らの問題と捉えるのが難しい。高齢者と比べると社会との接点も乏しいため関心も持ちにくい。

00年以降、若年層の投票率が比較的高かった選挙として郵政民営化が争点となった05年の衆院選、政権交代が起きた09年の衆院選がある。争点が単純で分かりやすかった。劇場型とはいえ政治に参加しようと思える構図だった。

今回は非常に理解しにくい。与野党の対立軸が見えない。立憲民主党と日本維新の会を中心とした野党の中の対立、国民民主党の22年度当初予算賛成と与党との政策協議も起きた。自分の投票が結果にどう結びつくのかイメージを描けないのではないか。

女性の参画や多様性の確保の面で女性候補者が増えたのは評価できる。女性議員が増えなければ政策のメリットも見えにくい。特定枠の活用や複数区への配置など、当選圏に入りやすくするためにできる工夫は残る。各党がどこまで本気なのかはかつてに比べれば見極めやすくなった。