株式や債券といった伝統資産と同様に、仮想通貨を信託財産として預かることが可能になる。仮想通貨は値動きが不安定で、取引には高いリスクが伴う。信託銀行に資産管理業務を認めることで投資家保護を強化し、適切な市場形成を促す狙いがある。
金融庁は意見募集を経て、早ければ秋にも内閣府令を改正する。信用や資本力のある信託銀行が仮想通貨を分別管理することで売買に際しての安全性が高まることになる。
交換事業者も信託銀行の資産管理の仕組みを使うことで、利用を促進する効果が見込める。
従来の伝統資産とともに、仮想通貨などのデジタル資産も信託財産の対象になる時代が訪れている。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使って、あらゆる資産を電子的に発行したり、流通させたりするデジタル資産を管理できるようになれば、信託銀行にとっても収益機会が広がることを意味する。
海外は仮想通貨を信託財産として預かるカストディー業務で先行している。
2019年以降に米資産運用大手フィデリティやバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)など大手金融機関が資産管理の業務に参入した。当初は個人の売買が中心だったが、取引の安全性が高まったことで機関投資家や企業の仮想通貨の保有が増えた経緯がある。
仮想通貨を巡っては交換事業者への不正アクセスによって資産が流出する問題がたびたび起きてきた。
18年には交換業者のコインチェックから約580億円相当の資産が流出する事件が起きた。21年には分散型金融(DeFi、ディーファイ)関連サービスを手がけるポリ・ネットワークから約6億ドル(約820億円)の仮想通貨が流出する事態に発展した。
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