松竹、VR新興に投資 メタバース技術狙う ファンド設立

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62176630Z20C22A6TB1000

 

歌舞伎などエンターテインメント事業のデジタル化を推進する。ソニーグループなどエンタメ企業によるスタートアップへの投資競争は過熱している。各社は自社のIP(知的財産)と新技術を組み合わせてVRなど新技術への対応を急ぐ。

 

松竹が立ち上げたCVC「松竹ベンチャーズ」(東京・中央)は7月1日から事業を開始する。歌舞伎などの演劇や映画、不動産といった松竹の既存事業との相乗効果が見込めるVR技術などに投資する。巨大な仮想空間「メタバース」やNFT(非代替性トークン)など新たな技術を獲得する。ゲームや漫画など、これまで手掛けていなかったエンタメ分野も投資対象にする。初年度は総額10億円程度を投資する計画だ。

スタートアップと新規事業の共創を目指すアクセラレータープログラムも開催する。8月上旬までに100社程度の応募を集めたい考えだ。12月には約10件の事業を採択し協業を始める。松竹ベンチャーズ取締役常務執行役員の森川朋彦氏は「外部の知見を取り入れて映画や演劇など既存事業の幅を広げたい」と話す。

松竹は新技術で自社のIPを生かす新事業を模索している。1月には歌舞伎俳優の映像に屋敷などのCG(コンピューターグラフィックス)を合成した「META(メタ)歌舞伎」をライブ配信した。歌舞伎の動画の一部を30~90秒程度で切り出したNFTコンテンツを販売するなど、デジタル技術を生かして若年層の取り込みを狙う。

エンタメ企業によるスタートアップへの投資は広がっている。ソニーグループは2月に新たなCVCの運用を始め、250億円規模への拡大を目指すと発表した。バンダイナムコホールディングスはメタバースを主な投資対象とするCVCを4月に設立。エイベックスやミクシィも新興企業投資を進める。

コンテンツ市場は拡大している。経済産業省の資料によると、2021年の国内コンテンツ市場は13.8兆円と、16年から1兆円以上伸びた。