歴史的円安ドル高、長期化か

様々な為替の決定要因を捨象し、国や通貨は違っても同じものを買うときは同じ値段になるように為替水準が決まるという概念だ。

英エコノミスト誌が更新し続けているビッグマック平価はビッグマックの各国での値段を基準に為替の平価を算出している。日本で390円、米国で5.81ドルの場合、1ドル=67円なら同じお金でビッグマックが買える。今のドル円相場は米国観光客が日本で同じお金で2つ買えるほどドルは高く円は安いということ。

一般には1973年を起点に輸出物価、企業物価、消費者物価の3種をもとに計算した購買力平価が参照される。過去50年ではドル円は輸出物価平価の水準を下限に消費者物価平価を上限にした幅でおおむね推移してきた。足元は消費者物価平価(110円近辺)を上回るドル高にある。

6月22日に1ドル=136円台後半と1998年10月以来の約24年ぶりの円安水準と報じられているが、消費者物価ベースの購買力平価を上回ったのは過去50年で3回しかない。82年の米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め時と85年のプラザ合意によるドル高是正時、今回である。現在は85年以来の37年ぶりの円安ドル高局面ともいえる。

ドル高になると米国の輸出産業は不利になる。85年当時は自動車など米産業界の要請もありプラザ合意につながり、合意後24時間で20円という円安ドル高の是正が進んだ。多くの米企業が円安ドル高で困っていた。今回はそのような声をあまり聞かない。構造変化で円安で困る主体が米国で少なくなったからか。

歴史的な円安ドル高は調整されるだろう。ただ困っている米関係者が少ないとするとドル高が長く続く可能性はみておかなければならない。