住宅ローン控除の注意点 新旧制度から選択も 税理士 柴原一さん   

住宅ローン控除は22年から新しい制度になりました。ただ、22年に新居に入居する人は、新制度と旧制度のどちらかを選択できる場合があります。建築・購入の契約を交わしたのが注文住宅は21年9月末まで、分譲住宅と建売住宅では21年11月末までなら旧制度の住宅ローン控除も対象になります。

新制度では、住宅ローンの年末残高の0.7%を13年間、所得税から差し引き、引き切れない分を住民税から引く税額控除が可能です。22年に入居する人の年末残高の上限額は、エネルギー消費を実質ゼロにするZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)で4500万円、基準を満たす省エネ性能を備えた住宅は4000万円、一般住宅では3000万円です。長期優良住宅など認定住宅では年末残高の上限が5000万円となります。

一方、旧制度では、認定住宅の年末残高は5000万円、それ以外の一般住宅は4000万円を上限に、1%を10年間、納税額から引けます。11~13年目は原則、建物価格の2%を3分の1ずつ税額控除できます。住宅の消費税が10%だったことが条件で新築なら基本的に対象です。

旧制度は21年で終わる予定でしたが、新型コロナウイルス禍がなかなか収束しないことから延長され、22年末までの入居が対象になりました。一般的には旧制度を利用する方が減税効果が大きくなると考えられます。新制度がお得なのは、住宅購入価格のうち建物の割合が極めて小さい場合に限られます。

住宅ローン控除では合計所得金額にも上限があります。新制度が2000万円なのに対し旧制度は3000万円と大きいことも利点です。確定申告の際は選択に注意しましょう。