大阪府では1日の利用再開からおよそ半月で約13万人が宿泊の予約をした。2021年6月の府内の宿泊者の1割超にあたる。東京都には予約開始日に完売したホテルもある。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた観光地や宿泊施設に客足が戻りつつある。
県民割は住んでいる都道府県を旅行した際、1人1泊につき最大半額(上限5000円)と飲食などに使える最大2000円のクーポンの補助を受けられる。独自に補助額を上乗せする自治体もある。独自財源で実施している東京都を含めて全47都道府県が提供しており、対象を隣接県などの住民に広げている自治体が多い。
都道府県によって申し込み方法は異なるが、旅行会社の予約サイトやホテル、旅館などに申し込んで利用する。新型コロナのワクチン接種証明書か陰性証明を提示する必要があるほか、運転免許証などの本人確認も求められる。
大阪府は感染者の減少を受けて1日に府民割を再開。30日までの期間中に約97億円(約110万人分)の予約枠を用意した。14日時点で約13万人が宿泊を予約し、日帰り旅行も3万人を超えた。21年6月の府内の宿泊者は約106万人だった。
愛知県が5月9日に開始した「あいち旅eマネーキャンペーン」には、6月20日時点で約12万人分の申し込みがあった。
淡路島にある温泉旅館「淡路夢泉景」(兵庫県洲本市)では、5月の来客が前年同月より約7割増え、新型コロナ禍前を1割上回るまでに回復した。「県民割の影響で予約が急増している」(運営会社)。お盆期間は満室という。日本三景の松島がある宮城県松島町の4月の観光客は10万9000人と、前年同月の2.7倍に達した。
東京都が10日に再開した都民割は1人1泊5000円を補助し、子供は1000円上乗せする。ホテルニューオータニ(東京・千代田)の5万円の宿泊プランは発売から約30分で埋まった。
県民割を含めた観光支援事業の経済効果は大きい。群馬県によると、20年6月から22年4月までの経済効果は約322億円にのぼる。
政府は7月中に「県民割」を全国を対象とする制度に切り替える方針を示す。制度への参加は自治体の判断に委ねられる。感染状況が落ち着いていれば、全国拡大する自治体が多いとみられる。

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