下がらない住宅価格、過剰な利上げに懸念(NY特急便)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21EBX0R20C22A6000000

 

住宅ローン金利の急上昇に伴う需要の冷え込みが顕著で、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めの影響が現時点で最も表れている分野といえる。

ところが需要減に時間差で反応するはずの物件価格はまだ高騰を続けている。中古住宅の販売価格(中央値)は40万7600ドル(5500万円)と1年前から14.8%上がり、初めて40万ドルを超えた。特にフロリダ州のマイアミやオーランドなどの値上がりが目立ち、米南部の物件の上昇率は2割を超える。

「ニューヨーク近郊の州では週末に戸建て物件の見学会を開けば待機する車が列をなし、翌週月曜には最も高いオファーを出した人が落札する状況。売り手の提示価格より高く売れることも珍しくない」。ニューヨークの不動産業者からはこんな話も聞こえてくる。人手や資材の不足で市場に出回る物件が少なくなる供給制約の長期化や、一部地域での根強い需要が、住宅価格全体を高止まりさせる構図が浮かぶ。

住宅価格の高騰で持ち家の取得を断念した人が賃貸市場に流れるなか、家賃の上昇も続き、物価全体を押し上げる一因になっている。FRBは強力な引き締めを続ける必要が出てくるが、供給に見合った水準まで抑え込もうとすると需要を冷やしすぎる懸念が強まる。FRBが「政策ミス」に陥るシナリオが一段と現実味を帯び、株式相場の重荷になる。