メタ、米住宅当局と和解 広告絞り込み制限で差別防止

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN220IJ0S2A620C2000000

 

幅広いSNS(交流サイト)の利用者が広告を閲覧していることを確認するシステムを追加し、配信対象を自動で絞り込む機能は廃止する。約11万5000ドル(約1600万円)の和解金も支払う。

米国では性別や宗教などの個人情報に基づいて住宅広告の閲覧対象を制限することを連邦法で禁じている。市民団体などが旧フェイスブックの絞り込みの機能を問題視してきたほか、住宅都市開発省が2019年3月に同社を提訴していた。

旧フェイスブックは性別や人種、郵便番号などを利用して住宅広告の配信対象を絞り込む機能を廃止すると同月に発表しており、さらに対応を強化する。具体的には住宅広告の配信対象を分析して年齢や性別、人種などに偏りがないか確認するためのシステムを導入。自動で配信対象を絞り込む機能の提供を取りやめる。

自動で配信対象を絞り込む機能は「類似オーディエンス」などと呼ばれ、広告主はメタの人工知能(AI)を活用することで広告効果を高めることができた。広告主はフェイスブックの利用者から高い広告効果を見込める利用者を自動で抽出できるが、コンピューターのアルゴリズム(計算手順)が差別を助長する懸念も出ていた。

21日の声明で米ニューヨーク南部地区連邦検事のダミアン・ウィリアムズ氏は「画期的な訴訟により、メタはアルゴリズムによる差別に対処するため初めて広告配信システムを変更することになる」と指摘した。メタの副社長兼副法務責任者、ロイ・オースティン氏は、偏りの有無を確認するシステムについて「住宅に加えて求人やローンの広告にも活用する」と説明した。