テンセント、日本向けデータ拠点増設 3カ所目、メタバース支援も

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61920870R20C22A6FFJ000/

日本のクラウド事業がオンラインゲームや動画のライブ配信システムの開発・運営向けに好調なためだ。日本で1月に参入した仮想空間「メタバース」の構築支援で新サービスを始めることも決めた。

 

テンセントで中国国外のクラウド事業の責任者を務めるポシュー・イェン高級副総裁が日本経済新聞の取材で明らかにした。

 

イェン氏は日本事業について、ゲーム向けなどをけん引役に「年率3桁増の高成長が続いている」と説明。「3カ所目のデータセンターを検討している。経験があるので時間はかからない」と語った。日本の売上高やデータセンターへの投資額は明らかにしていない。

日本では23日、数十種類のテンプレート(ひな型)を備えたメタバースの構築支援サービスを始める。1月に、クラウド上でのアバター作成やライブ配信の支援を始めたが、顧客側で技術面のカスタマイズが必要だった。「ひな型をそろえて顧客の負担を減らす」(イェン氏)狙いだ。

テンセントは16年にクラウド事業で海外進出し、現在は10数カ国・地域に拠点を持つ。現地化に欠かせないデータセンターは「ブラジル、インドネシアで新設し、中国国外だけで30カ所に増えた」(イェン氏)という。

市場別では、韓国は日本と同様、ゲームなど娯楽向けの需要が大きい。イェン氏は「テンセントのゲーム部門の経験を生かし、日韓のゲーム会社がブラジルや東南アジアへと顧客層を広げるのを支援したい」と語った。

欧米市場については、現地企業が「自社の中国拠点と連携するためのクラウドサービスの受注が順調に伸びている」(イェン氏)という。