タイ仮想通貨最大手、周辺国へ進出検討 ビットカブCEO フィリピンなど想定

フィリピンなど他の東南アジアを想定している。タイでは同業との競合に加え、当局の規制強化で事業環境は厳しさを増す。競争が比較的緩やかな地域への展開で成長持続を狙う。

ビットカブは2018年に設立。ビットコインをはじめとした主要な仮想通貨を取り扱い、年間取引額は1兆バーツ(約3兆8000億円)を超える。タイ国内でのシェアは9割を占める。金融大手のサイアム商業銀行の傘下入りを表明している。

ジラユット氏は進出国について、フィリピンのほか、カンボジア、ラオスなどを念頭に置いているという。

「こうした国は(関連市場で)明確な勝者といえる企業が存在せず、激しい競争に陥ることはない」と強調。進出時期は明言を避けたが「仮想通貨に関わる規制や商品開発の段階で、現地政府と緊密に連携する」と述べた。

タイでは今後、競争が激化する見通し。4月には世界最大規模の仮想通貨交換所を運営するバイナンスが、合弁会社を通じて参入することを表明している。

ビットカブは技術者の確保も喫緊の経営課題となっている。現在、ブロックチェーン技術者を250人ほど抱えているが、事業拡大で「最低でもあと500人は必要だ」(ジラユット氏)。タイだけの人材確保が難しくなっており、今後はベトナムなど周辺国で募集する方針だ。