航空業界団体「国境閉鎖は間違い」 コロナ対策を批判

世界保健機関(WHO)の助言に従わなかった「政府の不手際の代償は大きい」と批判した。

IATAによると、国境封鎖の効果は感染のピークを数日遅らせるだけだった。WHOもかねて、国境を閉じずに経済を回しながら感染対策をすべきだと主張している。ウォルシュ氏は、「各国政府は産業界と相談せず、WHOの助言にも従わなかった。医学やデータではなく、政治に基づく判断だった」と語った。

ウォルシュ氏は「経済が荒廃し、サプライチェーン(供給網)が分断され、雇用が破壊された。政府の不手際がもたらした代償は大きい」と批判した上で、「国境封鎖はパンデミック(世界的大流行)への正しい対応ではなかった」と述べた。規制がメンタルヘルスなど人々の健康にも被害を及ぼしていると述べた。

新型コロナ禍について「最後の世界的なパンデミックにはならないだろう」と述べ、次の感染症の流行に備えて失敗から学ぶべきだと主張した。

変異型「オミクロン型」の重症化率が下がっていることから、欧米を中心に水際規制の緩和・撤廃が進んでいる。ただ、中国と日本はこの流れと距離を置く。日本は6月から緩和したものの、1日2万人の入国制限を設けているほか外国人観光客に厳しい規制を設けており、本格的な観光受け入れは再開できていない。

欧米では国際的な往来が戻っているが、航空便キャンセルが多発するという別の問題も発生している。コロナ禍で大量のスタッフを解雇したため、需要急増に人員が追いついていない。英国は欧州連合(EU)を離脱したことでEU加盟国から人を雇用しづらくなっていることもあり、空港での混乱が収まらない。

ウォルシュ氏はこうした事態が「予測できたはずだ」と述べた。「政府は何のプランも持たず、オミクロン型にも過剰反応した」として、次の危機に備えて航空会社とより緊密に連携すべきだと指摘した。