どんな制度なのか。Q&A形式でまとめた。
Q 家を建てるときは必ず太陽光パネルを載せないといけなくなるのか。
A 義務化の対象は住宅メーカーなので、仕様を購入者が決める注文住宅なら載せない選択もできる。分譲住宅やマンションなど住宅メーカーやデベロッパーがあらかじめ太陽光パネルを搭載している場合は、設置済み住宅を購入することになる。
Q 載せた方が得になるのか。
A 東京都の試算では、戸建て住宅の屋根に発電量4キロワットの太陽光パネルを載せた場合、月々1万円かかっていた電気代が自家消費や売電により7700円安くなる。設置費用は90万円強なので、都の補助も利用すれば6年間で元が取れる計算だ。最近は燃料価格の高騰で電力会社の電気料金も上昇し続けている。経済的メリットは大きい。
Q メンテナンスや廃棄にお金がかかるのではないか。
A 確かにパワーコンディショナーという機器の買い替えや、使用済みパネルの廃棄にはお金がかかる。初期投資とは別にこうした負担が発生することを、住宅メーカーは購入時に丁寧に説明する必要がある。
Q なぜ義務化するのか。
A 都は中期目標として2030年までにカーボンハーフ(温暖化ガス半減)を掲げていて、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの導入拡大は欠かせない政策だ。都によると、太陽光パネルが設置可能な住宅は都内に約180万棟あるが、設置済みの住宅は5%程度しかない。補助金による誘導策から住宅メーカーへの義務化で一気に設置率を引き上げる狙いがある。
Q いつから始まるのか。
A 条例改正と周知が必要になるため、最短でも24年度の施行となる見込みだ。小池百合子知事は6月議会で「専門家の意見を聞きながら、丁寧に検討し、必要な支援などにつなげる」と述べ、義務化後も一定の補助を続ける意向を示している。
Q 住宅メーカーは義務化に前向きなのか。
A 脱炭素は世界的な潮流となっている。省エネ性能が高く、再エネ設備も備えた住宅の供給は住宅メーカーの責務ともいえる。いち早く商品開発に取り組んでいたある企業は「電気料金の高騰が続くなか、経済的メリットのある太陽光パネル設置は受け入れられやすくなる」と期待する。
(上月直之)

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