メタが次世代VR端末の試作品 小さく軽く、開発急ぐ

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61885620Q2A620C2TEB000/

 

映像を表示するディスプレーと焦点を合わせるのに必要なレンズの間の距離を短くして小型軽量化する。高性能な端末が次世代のインターネットと位置付けるメタバースの実現に不可欠とみており、現実の景色の再現を目標に開発を急ぐ。

研究部門の説明会を開き、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)らがVR端末の要素技術の開発状況を説明した。ザッカーバーグ氏は高性能な端末について「実際に誰かと一緒にいるような感覚が得られるようになり、視覚体験も広げる」と述べた。

ホロケーキ2では2020年に公開したサングラス型の端末に活用した技術を発展させた。立体的な映像を再現するホログラフに加え、狭い範囲で光を折り返す偏光と呼ぶ技術を応用する。「当社が開発した中でもっとも薄く軽いVR端末で、既存のPC連動型VRソフトをすべて動かせる」(ザッカーバーグ氏)としている。

ただ、十分な性能を確保するには「従来の発光ダイオード(LED)の代わりに、レーザーを光源として使う必要がある」(同社幹部)。現時点では消費者向けのVR端末に搭載可能なレーザーは実用化のめどが立っていないといい、ホロケーキ2の発売時期や価格などについても言及していない。

説明会では目の動きを検知して視線の先にある物体に自動的に焦点を合わせる技術を搭載したゴーグル型の端末「ミラーレイク」のデザインも示した。研究部門では現実の景色と遜色がない映像を再現できるVR端末の開発を中期的な目標に据えていると説明し、焦点の調整に加えて、高い解像度、ゆがみの補正、明暗比の向上が課題と指摘した。

旧フェイスブックは21年10月にメタに社名変更し、事業の軸足をSNS(交流サイト)からメタバースと呼ぶ臨場感の高い仮想空間に関連したサービスに移す方針を示している。同社はSNSで個人情報の不適切な利用により批判を浴びた経緯があり、メタバースでは開発途上の技術を積極的に公開して社会の理解を得る活動に力を入れている。