人生百歳時代 三井不動産社長 菰田正信

先日三井グループの役員懇親会である月曜会に筑波大学大学院の久野譜也教授をお招きして、「自然と健幸になれるまちづくり」という演題で講演していただいた。「健幸」と書いたのは字の間違えではなく、健やかであることが康(やす)きを超えて幸せにつながるということで敢(あ)えて「健幸」という字を使っているとのことだった。人生百歳時代と言われて久しいが、確かに長生きするなら健康長寿を目指したいところだ。

先生のお話で嬉(うれ)しかったのは、90歳を超えても筋肉は再生されるというくだりだ。

まず、93歳のお婆ちゃんが体育館で、テープで引かれた線の上を杖(つえ)を突いてよろよろと歩いている映像が見せられた。次に見せられたのが3カ月筋トレしたあとの映像。なんとお婆ちゃんが杖もなしに線の上を小走りしている。「これなら、海外は無理でも国内旅行は楽に行けますね」ということだった。90歳を超えても筋肉は再生されるということが証明されたわけだ。

「歩いて街中に出て、人と会って話す」。これが健康長寿の最大の秘訣であることは以前から言われていたことだが、先生のお話は90歳になっても街中に歩いて出られる体づくりをすること、そのためには、筋活(筋力を維持する運動)をすることが大切ということだった。

ただ、筋活は義務感だけでは長くは続かないので、筋活をしてでも行きたくなる場所を創らなければならない。「人生百歳時代」にデベロッパーとしてやらなければならないこと。それは「70歳を超えても週3回は行きたくなる場所を街の中に創ること」であると教えていただいた。