NTT、来月から3万人テレワーク 居住地は全国自由に 出社は出張扱い、飛行機も容認

主要7社の従業員の半分となる約3万人を原則テレワークの働き方とし、勤務場所は自宅やサテライトオフィスなどとする。出社が必要になった場合の交通費の支給上限は設けず、飛行機も利用できる。多様な働き方を認め、優秀な人材の獲得につなげる。NTTの取り組みが、多くの企業の働き方改革に影響を与える可能性がある。(関連記事総合5面に)

6月中旬、制度導入を巡り労働組合と合意した。まずNTT、NTTドコモやNTTデータなど主要7社が対象になる。7社の従業員数の合計は6万人で半分が原則テレワークで働くことになる。課題を検証しながらグループ全体に広げる。NTTの国内従業員数はグループ会社を含めて約18万人いる。

各社でテレワークを原則とする部や課などの部署を決める。企画やシステム開発などが中心となる見込みだ。NTTは2021年9月に転勤や単身赴任をなくす方針を打ち出した。新制度の導入に伴い、単身赴任している社員が自宅に戻る場合の引っ越し代は会社が負担する。出社が必要になった場合は「出張扱い」とし、宿泊費も負担する。

子育て中や介護中の社員も働きやすくなり、人材の多様性(ダイバーシティー)が生まれ新たな付加価値を生み出せると見込む。場所にとらわれない働き方は人材採用でも働き手にアピールしやすいとみる。

全国のどこでも居住して勤務できる制度はヤフーやディー・エヌ・エー(DeNA)などIT(情報技術)企業が導入している。ただ伝統的な大企業では前例がなくNTTが最大規模になる。

新型コロナウイルス禍から経済正常化に向かうなかで、多くの企業が柔軟な働き方と生産性向上の両立という課題に直面している。出社を再開する企業もある一方で、NTTのように原則テレワークとする企業もあり、対応の二極化が進んでいる。