https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC026260S2A600C2000000
1位は不動産投資を手掛けるロードスターキャピタルだった。物件売買の実績を武器に参入した資産管理事業が軌道に乗りつつある。上位には本業の知見や技術を生かし、周辺事業や海外市場で新たな収益を獲得する企業が目立った。
JR目黒駅から徒歩5分の大通り沿いに、地上8階地下1階建てのオフィスビルがそびえる。築30年と新しくはない。一見すると「普通」にも思えるこの物件を21年12月に取得したのがロードスターだ。決め手は立地に加え、18年にエントランスとエレベーターホールを改築していた点。鑑定評価額の上昇を見込めると判断した。
12年に創業したロードスター。ゴールドマン・サックス系の資産運用会社で不動産投資を担ってきた岩野達志社長らが築いた情報網が強みだ。大手と競合しにくい20億~30億円の物件を仕入れ、改装やテナント入れ替えで価値を高めて売却する。この事業で連結売上高の8割近くを稼ぐ。
鑑定額が仕入れ価格を上回っても売り急がないのがポリシーだ。保有25物件の帳簿価格は3月末時点で計449億円と、上場直後の17年9月末の約3倍に膨らんだ。保有物件から投資家のニーズに沿った売却案件を厳選し、着実に利益を稼ぐ。この繰り返しで業績を伸ばし、22年12月期の連結営業利益は過去最高の71億円と、前期に比べ15億円(27%)増える見通しだ。
不動産市場の急変リスクに備え、第三者の物件を管理して手数料収入を得る資産管理事業を19年に始めた。物件売買の実績が生き、3月に引き受けた東京都新宿区のオフィスビルはもともと保有物件だ。譲渡先のオーナーから管理を継続して価値を高めてほしいと依頼されたという。
22年12月期の資産管理事業の部門売上高は5億~8億円(前期は約2億円)を目指す。全体に占める比率は数%だが「人件費しかかからず、リスクが少ない事業」(岩野社長)だ。24年12月期には受託資産残高を2000億円と21年12月期の7倍近くに増やし、収益源としての確立を急ぐ。
2位のスノーピークは、新型コロナウイルス下のレジャー需要の変化を捉えた代表格だ。キャンプ人気が急速に高まるなか、初心者向けのテントやたき火台といったアウトドア製品がよく売れている。
価格は業界の相場より割高だが、「ブランド力と耐久性が強みで、長く使いたい顧客に選ばれている」(金子聡執行役員)。22年12月期の営業利益見通しは52億円と、前期に比べ14億円(37%)増やす計画だ。
スノーピークは市場が大きい海外事業が持続成長のカギとみる。1996年に米国に参入し、約30カ国・地域に販路を広げた。卸売先の開拓をさらに進め、24年12月期には売上高に占める海外比率を40%(21年12月期は24%)まで引き上げる目標だ。従来は海外工場の製品を国内で検品していたが、海外の体制を順次整備し、各地の販売先に直送できる仕組みに変える。

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