https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61854790Z10C22A6EA2000/
なかでも新興国が60回と多い。高まるインフレを抑制するために利上げが先進国で本格化し、新興国はインフレと通貨安の連鎖を恐れて引き締めを急ぐ。世界同時に急ピッチで進む利上げにより、金融緩和で膨らんだ株式などのリスク資産からマネーが流出し、景気を圧迫する副作用も顕著になってきた。
22年1~6月は利上げが80回に達し、前年同期の約7倍になった。リーマン・ショック前の好景気に沸いた06年(65回)などを上回る。利下げは、移動制限などで経済の先行きが不透明な中国、欧米の経済制裁が厳しさを増すロシアなどに限られ、「世界同時利上げ」の様相となっている。
00年以前は新興国のデータなどの遡及が限られるが、1970~80年代のオイルショック時以来の世界的な引き締め局面とみられる。年間で好景気だった06年の利上げ回数(119回)に迫る可能性が高まっている。
低格付け社債の指数や新興国債券(ブルームバーグ指数)も軒並み下げている。米調査会社EPFRによると、年初から5月までに新興国債ファンドから570億ドル(約7兆6800億円)が流出。「投資家はリスク資産を減らそうと現金比率を高めているが、全てを現金にできるわけでもなく難しい局面だ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)
景気後退のシナリオは現実味を増す。米コンファレンス・ボードの調査によると、世界の最高経営責任者(CEO)の60%以上が1年半以内の景気後退入りを想定している。
「FRBを中心に景気を犠牲にしてでもインフレを抑え込もうとする動きが続く」(大和証券の山本賢治氏)なか、世界景気を腰折れさせずにインフレを抑えられるか、難しさは増している。


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