米金利、秋にも3%超え 0.75%利上げ、対インフレ重視 世界経済の耐久力乏しく

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インフレの加速が止まらず、直前まで強く示唆してきた0.5%の利上げ幅の変更に追い込まれた。今回の利上げは通常(0.25%)の3倍の規模で、政策金利は今秋にも3%を超える見通しだ。失速リスクに直面する米経済だけでなく、過剰債務を抱え耐久力が乏しい世界経済にも試練が訪れる。

 

「我々が犯しうる最悪の過ちはインフレの抑制に失敗することだ」。米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でパウエル議長はこう強調した。市場は急速な利上げによる景気後退を懸念するが、何よりインフレの封じ込めを優先する姿勢を強くにじませた。

 

FOMC参加者による2022年末の政策金利見通しは中央値が3月時点の1.9%から3.4%に切り上がった。政策金利は今回の利上げで1.50~1.75%となった。年内の残り4会合でさらに計1.75%の利上げが必要になる。

パウエル議長は会見で次回の7月の利上げ幅も「0.5%か0.75%になる可能性が高い」と語った。遅くとも11月には14年ぶりに3%を超えるシナリオが濃厚だ。1年間の利上げ幅は比較可能な1982年以降で最大となり、23年末には3.8%まで引き上がる。

景気失速のリスクは一段と強まる。FOMC参加者は23年10~12月期の実質経済成長率の見通しを2.2%から1.7%に下方修正し、失業率は3.5%から3.9%に修正した。