世界インフレの実相(3)日本の家計、緩まぬ財布 物価上昇、エネルギー除き0%台

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61792870X10C22A6MM8000/

 

6日の講演で「家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言し、野党が「無神経」などと批判を強めていた。8日には衆院財務金融委員会で発言の撤回に至った。

 

日本もインフレが進むのか。評価が難しいことが迷走の背景にある。

4月の消費者物価上昇率は生鮮食品を除き前年同月比2.1%と、日銀が目標とする2%を7年ぶりに超えた。内実は資源高の影響が大半。エネルギーも除くと0.8%にとどまる。消費の性質別にみても食品など「基礎的支出」の4.8%に対し、ぜいたく品など「選択的支出」は0.1%とまだら模様だ。米国は食品・エネルギーを除いても6%を超える高インフレで、日米の差は依然大きい。

日本の家計の余裕が行方を左右する。総務省の家計調査で、可処分所得は2021年に月平均49万円強と10年前から約7万円増えた。共働きが広がり、世帯収入が増えたためだ。この間、消費支出はほとんど伸びず31万円弱にとどまる。代わりに預貯金の純増額が5万円から15万円になった。