高島屋の新しい金融アプリ、「買い物×銀行」の成否

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC145250U2A610C2000000

 

専用のスマートフォンアプリ「高島屋ネオバンクアプリ」をダウンロードすることで、預金や決済、融資といった銀行サービスを利用できるようになる。

ネオバンクは住信SBIネット銀行が手がける事業者向けの銀行インフラサービス。住信SBIと提携した企業がオープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を活用し、住信SBIの基幹システムに接続することで銀行と同等の金融サービスを顧客に提供する。

高島屋ネオバンクも、百貨店ならではの金融サービスを組み込んだ。目玉は何といっても「スゴ積み」と名付けられた積み立てサービスだろう。1年満期型の積み立てサービスで、毎月一定額を積み立てて満期を迎えると、1カ月分のボーナスが付いた13カ月分の買い物券がもらえる。

百貨店の積み立てサービスは、毎月1万円を積み立てた場合、年利に換算すると15%相当になる。メガバンクの1年定期の金利が0.002%である中にあっては、非常にお得なサービスだ。

金融業を「第3の柱」に

高島屋は金融事業を百貨店事業、商業開発事業に次ぐ第3の収益源と位置づけ、さまざまな施策を打っている。20年3月にクレジットカード事業子会社の高島屋クレジットと保険代理業の高島屋保険を統合し、金融事業を担う子会社、高島屋ファイナンシャル・パートナーズを発足させた。6月には資産形成や相続の相談ができるファイナンシャルカウンターを日本橋に開設。投資信託や保険、不動産信託や遺言信託など、多種多様な商品を取り扱っている。

高島屋は、21年度からスタートした新3カ年計画で、足元は営業利益44億円(21年度)の金融事業を最終年度までに55億円にすることを目標としている。仮にこれが実現すれば、金融事業は高島屋グループ全体の営業利益の2割近くを占めるまでになる。

金融事業の多角化を通じて収益を拡大し、百貨店事業の落ち込みを下支えする存在感を示せるか。ネオバンクはそのカギを握るといえよう。