https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61717110U2A610C2EE9000
スイスのパートナーズ・グループは通常10億円とされる最低投資額を1億円程度に引き下げて提供する。インフレで上場株や債券市場が不安定となるなか、未公開市場に資金を退避させたい投資家の需要を取り込む。
パートナーズが信託銀行を通じて販売するのは、PE投資の主力商品である「グローバル・バリュー戦略」だ。国内年金向けの専用ファンドを近く立ち上げる。最低投資額は1億円程度とし、一般的なPEファンドが目安とする10億円より大幅に低く抑える。
国内の年金基金がPEや不動産などオルタナティブ(代替)資産に投資する動きは広がっている。確定給付企業年金の22年3月末時点の資産残高は68兆円。JPモルガン・アセット・マネジメントによると、21年3月末時点の資産配分計画のうちオルタナティブは平均で22%で、11年3月末の8%から大幅に上昇した。計算上は少なくとも10兆円を超える巨額の年金マネーがオルタナティブ市場に流入している。
ファンド側は投資家層の分散効果を期待できる。投資家の地域や属性が偏っていると、たとえ運用成績が良くても、景気や法規制などの影響で資金が引き揚げられる恐れがある。欧米系ファンドは分散先として、アジアの中でも中国などと比べて地政学リスクが低い日本に着目し、その中でもより規模の小さい投資家へ裾野を広げている。


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