政府は14日、2022年版の男女共同参画白書を閣議決定した。未婚や事実婚など人生や家族の姿が多様化したことを「もはや昭和ではない」と表現した。「さまざまな政策や制度が高度成長期のまま」だとも強調した。
配偶者控除の見直しなど世帯でなく個人単位の制度への移行を提起した。
内閣府が21年12月~22年1月に20~60代の2万人から回答を得た調査結果などをまとめた。30歳時点の未婚女性の割合は1980年の11.3%から20年に40.5%へ上昇した。婚姻歴のない30代男女の4人に1人が結婚願望がないと答えた。
共働き世帯は1985年の718万世帯から21年には1177万世帯に増えた。専業主婦世帯は936万世帯から458万世帯に半減した。
離婚件数は年間およそ20万件で「女性にとってもはや結婚は永久就職先ではなくなった」と記した。「女性の経済的自立を可能にする環境整備」が重要だと訴えた。
社会変化に合わせて正社員の夫と専業主婦の妻というモデルを前提としない制度への移行が欠かせない。
白書は妻が仕事を抑制した方が税負担が減る「配偶者控除」などに言及した。女性が就業調整しないよう「さらなる取り組みが必要だ」と記した。
配偶者控除の廃止は15年に政府税制調査会(首相の諮問機関)が報告書に盛り込んだ。共働き世帯にも恩恵のある「夫婦控除」構想もあった。専業主婦世帯の負担が増す制度変更に慎重論があり、具体的な議論は進まなかった。
白書は女性の社会進出を促す改革を求めた。専業主婦や就労を控えてきた女性が離婚すれば十分な年収を得られないとの危機感が背景にあった。多様な人材が活躍できる環境を整えることは経済成長にもつながる。
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