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公道利用、立ち乗り三輪の普及後押し ホンダ系が参入

ホンダ発のスタートアップ、ストリーモ(東京都府中市)は13日から国内の消費者向けに300台限定で開発した立ち乗り三輪車のオンライン受注を開始。年内に納車する予定だ。2023年には欧州にも投入する計画だ。(1面参照

日本では電動アシスト自転車のシェアサービスを手掛けていたLuup(ループ、東京・渋谷)が、新事業特例制度による実証実験の形で、21年から電動キックボードの時間貸しも始めた。既に拠点網を全国で約1300まで広げるなど、利用の裾野が広がっている。

公道での利用促進に向けた法整備も普及を後押しする。4月に改正された道路交通法では、これまで排気量50ccの原付きと同じ扱いだった電動キックボードなどの1人乗り電動車が、最高時速20キロメートル以下のモデルに限り「特定小型原動機付自転車」という新たな車種区分となる。

2年以内に施行される見通しで、16歳以上は免許なしで運転できるようになり、ヘルメット着用も努力義務となる。今回ストリーモが発売したモデルは最高時速25キロメートルで、今後、新たな車種区分に対応したモデルを開発する。

国内で現在販売されている電動キックボードは、キントーン(茨城県常総市)や中国大手、セグウェイ―ナインボットなど新興勢や輸入品が主体だ。これまで安全面などの課題もあって慎重だった車大手だが、法改正を機に公道での利用を想定した車両の投入を本格化する構えだ。

ヤマハ発動機も前輪が2つある立ち乗り電動三輪車「トリタウン」を開発。公道での実証実験を進めており、早期の市場投入を目指している。またトヨタ自動車も前方の人や障害物などを検知して警告する機能を持たせた立ち乗り電動三輪を21年10月に発売した。現在は大型商業施設など私有地限定だが、将来的には公道にも利用を広げる方針だ。

一方、法整備で日本に先行する欧州ではすでに、独アウディが19年に立ち乗りの電動スクーターを発表。独メルセデス・ベンツグループも20年に参入するなど、車大手による新モデル発売が相次いでいる。

ホンダの社内スタートアップによる事業化は、視覚障害者の歩行補助器を開発するAshirase(あしらせ、東京都西東京市)に続き、2社目となる。ストリーモはホンダからの出資比率を12%に抑え、ベンチャーキャピタル(VC)などからの出資も募って立ち乗り三輪の事業化にこぎ着けた。生産も台湾企業に委託し、販売にも独自サイトを使うなどホンダから独立した経営で成長を目指す。