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無罪のプレサンス前社長国賠訴訟、国は争う姿勢 大阪

学校法人明浄学院の資金21億円を巡る業務上横領事件で、無罪が確定した不動産会社プレサンスコーポレーション(大阪市)の山岸忍前社長(59)が、大阪地検特捜部の不当な捜査で身柄を拘束され、名誉を傷つけられたとして、国に7億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、大阪地裁で開かれた。国側は争う構えを示した。

この日の法廷で山岸氏は意見陳述。かつて大阪地検特捜部に逮捕された厚生労働省の元局長、村木厚子さんが無罪になった事件を引き合いに「村木さんや私のような冤罪(えんざい)の被害者が二度と生み出されないようにするため、検察は見苦しい言い訳をせず、反省してほしい」と訴えた。

事件でプレサンス社は倒産の危機にひんし、多くのものを失ったのに対し、検察は無罪判決から半年がたっても謝罪や検証をしていないとして「納得ができない」と主張。「検察が誤った原因が何か、その過ちでどれだけの損害が出たか公平で公正な裁判所に判断してもらい、客観的に検証していただきたい」と述べた。

訴状によると、特捜部の検事は、山岸氏の元部下=業務上横領罪で有罪確定=らに対する取り調べで「プレサンスの評判をおとしめた大罪人だ」などと威圧。その後、元部下らは山岸氏の関与を認める供述に転じ、山岸氏は逮捕、起訴された。逮捕から248日間勾留され、取締役の地位を失い、精神的苦痛や経済的損害を受けたとしている。

大阪地裁は昨年10月、元部下の供述に関し「核心部分に看過できない変遷がある」「虚偽の可能性が高い」として山岸氏を無罪とした。検察側は控訴を断念し確定した。