https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61598070Z00C22A6EP0000/
賃金に差がつく要因を見極め、女性が適切な評価を受けて働きやすい社会をつくるのが目的だ。英仏などが導入し、欧州連合(EU)の欧州委員会も加盟国の開示義務に向けて議論を進める。世界に比べて男女差が大きい日本も、7月の開示に向けて動き出した。
男性が1ポンド(約165円)の賃金をもらう間に、女性は0.9ポンド(約150円)の賃金を得ている。これは英国の内閣府で働く職員の2021年時点での男女間の賃金格差だ。
英国政府は17年から、男女間の賃金格差の公表を義務づけた。政府サイトと企業のホームページで毎年、更新する。政府サイトでは従業員が250人超の企業と公共団体の賃金差が確認できる。格差に対する罰則などはない。差がある場合、改善に向けた取り組みを開示している企業もある。
格差は「中央値」と「平均値」で示される。中央値は対象となる従業員の賃金を上位から順番に並べ、真ん中にいる人の賃金を基準とする手法だ。平均値に比べると、中央値は社長などの極端に高い賃金が数値に与える影響が小さい。雇用形態別ではなく、正規と非正規を合わせて比べているという。
世界的に女性の就業率は上昇しているが、管理職への登用などに課題が残るのは間違いない。学習院大の今野浩一郎名誉教授は「企業が競争力を発揮するには、能力のある人を登用する必要がある。賃金差は女性の育成や登用が遅れているという結果であり、人材活用の課題を浮き彫りにする」とみる。

コメントをお書きください