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デジタル証券の市場拡大、不動産が裏付け資産に

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB252B50V20C22A5000000

 

SBI証券は東京都内の住居を裏付け資産とするデジタル証券の販売を6月1日から始めたほか、岡三証券グループはデジタル証券専門の子会社で年内に初号案件の取り扱いを始める。数%程度の安定した利回りを確保できるのが特徴だ。今後は多様な資産を裏付けとする商品が出てくるかどうかが個人への浸透の鍵を握りそうだ。

 

デジタル証券はブロックチェーン(分散型台帳)技術を使って電子的に発行されるもので、セキュリティー・トークンとも呼ばれる。一般の証券に比べて発行にかかる手間が少なく、コストも低いのが特徴だ。

SBI証券やSBIマネープラザは6月1~8日、経堂や門前仲町など都内にある住居3件の信託受益権を裏付け資産としたデジタル証券を販売する。発行額は17億円強。運用期間は7年で、想定利回りは3.3%。三井物産デジタル・アセットマネジメントが投資家からの委託に基づいて資産を管理し、三菱UFJ信託銀行が受託者となる。今後も数カ月に一回程度のペースで新たなデジタル証券を発行する考えだ。

岡三証券グループが設立した岡三デジタル証券準備会社には、あおぞら銀行が15%、不動産販売のADワークスグループフィンテックグローバルが10%ずつ出資した。払い込みは5月31日付。新会社はまず不動産を裏付けに、個人が投資しやすい1~5%程度の利回りを確保できるデジタル証券をつくり、販売する。

同じく不動産に小口投資できる上場不動産投資信託(REIT)との違いは特定の決まった物件を購入して保有し続ける点だ。デジタル証券は実際の不動産投資に近い感覚で投資できる特徴がある。

今後の課題はデジタル証券の裏付け資産が不動産から、その他の資産に広がるかどうかだ。現状、各社は利回りを生み出す原資であるキャッシュフローが把握しやすい不動産を裏付けに発行している。