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就活の内定辞退、まずは電話で伝えて 読むNIKKEI LIVE 就活探偵団・編集会議

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC308ZG0Q2A530C2000000

 

学生の動き読みにくく

デスク「採用人数のめどが立たないと人事担当者も苦労しますよね」

臼井記者「新型コロナウイルス禍で断続的に行動制限がかかり、採用活動を一時休止する場合もありました。コロナ禍前に比べて学生の辞退時期が読めなくなっているようです」

デスク「企業側から内定辞退を伝える方法について要望はありましたか」

臼井記者「『電話で伝えてほしい』という人事担当者もいましたが、『メールもほしい』という担当者もいました。連絡の行き違いになってしまうのを防ぐためにメールがいいと思います。あるメーカーの人事担当者は『速報として電話で伝えて、そのあとに確報としてメールを送ってほしい』と話していました」

「『社会人になれば、言いたくないことを自分の言葉で伝えなければいけない局面が必ずあるので、その練習の一つとして捉えてほしい』という声もありました。ある不動産企業は選考で密にコミュニケーションをとることもあり、『最後は会話で終わりたい』と話していました。同業他社に就職するのであれば仕事上、再会する可能性もあるのでしっかり伝えておいたほうが良いかもしれないですね」

デスク「私が就活生だった2000年代中ごろは、企業に訪問してしっかり伝えるべきだという意見もありました」

北川記者「コロナ禍もあり訪問すべきだという意識は薄れつつあるようです。私が取材した23年卒の大学院生は最終選考まで面接はすべてオンラインだったそうです。『内定辞退を伝えるためだけに会社に訪問して、初めましてと切り出すのもおかしいので、電話で伝えようと思っている』と話していました」

伝達の先送りは避けて

香月記者「ある大学のキャリアセンターの担当者は『既に企業から内定を得ていて、より志望度の高い別の企業から内定を得た場合はすぐに断るべきだ』と話していました。コロナ禍で企業の経営環境も大きく変わり、即時に判断しづらいかもしれないですが、あまり内定辞退の回答を先延ばししない方がいいでしょう」

デスク「みなさんの中で、内定辞退した経験のある人はいますか」

山口記者「私は内定辞退を経験したわけではないのですが、学生に話を聞くとメールや電話などで辞退を伝えることが多いようです。内定まで親身に相談に乗ってくれた企業には感謝を伝えるという意味でも確かに電話で直接話すのがいいでしょう」

「企業として一番避けたいのは、あまり相性がいいと思っていなかったのに入社し、結局すぐに辞めてしまうミスマッチが起きることです。考えたうえで別の会社を選ぶことになったとしても、正直に話すのがいいと思います」

香月記者「キャリア支援のハナマルキャリア総合研究所(東京・渋谷)の上田晶美代表からご意見を頂きました。『内定辞退は会社に行く必要はないでしょう。まずは電話で伝えましょう。ただし、内定というのは労働契約なので、書面で解除するのが丁寧だと思いますね』とのことです」

デスク「進路を迷っている人はどうすればいいでしょうか」

山口記者「迷っている場合は内定者向けのイベントに参加して周りの同期の雰囲気を見たり、OB・OG訪問サービスでその会社に詳しい社員や社会人に話を聞いたりと判断材料を増やすといいでしょう」

「入社後の配属先や福利厚生など不明な点があれば、人事に直接問い合わせるのがよいと思います。内定後のやり取りもオンラインが多いので抵抗感を覚える学生が多いですが、知りたいことはその場で解決した方がいいと思います」

複数内定を持つ人、半数超

リクルートの5月時点の調査では、23年卒で2社以上の内定を獲得している人は56.3%と、前年に比べ2ポイント上昇した。企業側は人手不足から入社予定の人数より多めに内定を出している側面もある。複数内定で悩むのはもはや珍しくない。ファーストキャリアは人生一度きり。最終的な行き先はじっくり考えて決めてほしい。