https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD24BOK0U2A520C2000000
スマート修繕(東京・渋谷)は工事会社の実績などを分析し、大規模修繕の依頼先探しを手助けする事業を始めた。管理や修繕を巡り、組合内で意見が割れることも少なくない。客観的なデータを活用した新興勢の試みは、住人間の合意形成の進展につながる可能性もある。
1月に設立したスマート修繕のサービスは、大規模修繕を計画する管理組合と工事会社をマッチングする。修繕実績や財務などのデータが優れた35社程度の工事会社を選び、その中から最大3社の相見積もりを取れるようにする。
工事や資産価値の情報収集難しく
日常的な管理データに着目する動きもある。不動産コンサルタントのさくら事務所(同・渋谷)は6月中旬にも、管理計画と資産価値の相関性をリポートするサービスを始める。組合の管理レベルを客観的に評価し、将来の売却価格などへの影響を分析する。
たとえば、共用施設が豪華なのに管理費の設定額が過度に低いと「資産価値の維持力が弱い」と評価する。
既存マンションの管理レベル評価
不動産スタートアップのFFP(同・港)も既存マンションを対象に、理事会の開催頻度や防犯カメラの設置状況などから管理レベルを評価する事業を手掛けている。マンションの流通価格や賃料に関する複数の外部データも集め、管理状況との関係を報告する。
21年に試験提供を始め、すでに約20組合へリポートを提出した。今後は大手管理会社などを通じて顧客を増やす計画で、「1000組合ほどへの拡大は早期に達成できる見通しだ」という。
もっとも、専門家からは「データの収集・分析には時間がかかる。マンション情報のオープン化が長期的な課題になるだろう」(東京カンテイの井出武・上席主任研究員)という指摘も聞かれる。新興勢の取り組みはマンション管理の未来図にも影響を与えそうだ。


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